北の北欧ふらっと旅⑤:Wi-Fi求めて空港へ〜幻のオオカミとワタスゲに沈む靴〜

フラットなオウルをふらっと出たら山あり谷ありヘトヘト旅5日目1_表紙 ノールカップ

 こんにちは。ズッキーです。

 北極圏ラップランドの広大な自然の中を自転車で進む旅5日目です。北極圏のフィンランドはほとんど何もない場所ですが、やはり私のようなポンコツが行くと、常に何かが起こる感じがします。

 

5日目のルート

 5日目は、サーリセルカ Saariselkäの手前から、セヴェッティヤルヴィ Sevettijärviの近くまで進みました。

 

閉まっていた空港と幻の遠吠え

 突然ですが、オオカミは好きですか?

 私は『もののけ姫』を見てからというもの、山犬に乗ることを夢にしていました。そのため、イヌ系の中でもオオカミがかなり好きです。日本にオオカミがいないことが悲しくて仕方ありませんでした。明治の西洋化の影響で広く家畜が導入されたせいで、日本でオオカミが絶滅したことをずっと嘆いています(科学的根拠はありません)。

国立科学博物館に展示されているニホンオオカミCanis lupus hodophilax
国立科学博物館に展示されているニホンオオカミCanis lupus hodophilax
北海道大学植物園に展示されているエゾオオカミCanis lupus hattai
北大植物園に展示されているエゾオオカミCanis lupus hattai

 ちなみに、ニホンオオカミの剥製標本があるのは、国立科学博物館、和歌山県立自然博物館、東京大学農学部、Naturalis Biodiversity Center(オランダ。雑種の疑いあり)、Natural History Museum(イギリス)のわずか5箇所のみ(Cf. 小森 2024)。エゾオオカミの剥製標本に至っては、北海道大学植物園のみにしか存在しません。

 そんな私にとって、野生のオオカミに出会える可能性を秘めたフィンランドは、まさに希望の地でした(フィンランドでも、オオカミは減少傾向にありますが…)。なんなら、オオカミに食べられてでもいいから一度でいいから見てみたい、そんな風に思っていました。

 この日、私はwifiに接続できるかなと思って、イヴァロ空港に来ていました。日本でwifiがこれほど普及する前から、フィンランドではフリーwifiが普通に飛んでいました。ところが、イヴァロ空港はまさかの営業外。フリーwifiも繋がりません。なんと、この空港、飛行機の来ない日は営業していないみたいなのです。「空港にお休みの日なんてあるんだ!」と初めて知りました。

 そんな徒労に終わった帰り道、空港から元の道に戻るために走っていると、突然、森の奥から、遠吠えの声が響いてきたのです。

「ま、まさか、オオカミ!?」

 身体中の毛がぴきーんと逆立つような感覚に襲われました。俄然興奮しますが、犬の可能性も捨てきれません。近くにはちょこちょこ民家もありますし、犬が遠吠えをすることもあります。実際に犬が遠吠えをしているのを聞いたのは、1、2度でしたが、必ずしも珍しいことではありません。

 しかし、あの声は、森の奥から聞こえてきました。私もオオカミの鳴き真似をして遊んでいたこともあるからわかりますが、人間の声でもありません。

 可能性を信じて、森の中に目を凝らしましたが、残念ながら、それらしい姿は見えませんでした。

 それでも私は、オオカミだと信じることにしました。

 ところが、旅が終わってから、フィンランド人の友人に意見を求めたところ、あっさり。

「それ、犬じゃない?」

と言われてしまいました。

 

 ひ、ひどい。(*´□`*。)

 

イヴァロでのちょっとした失敗談

 イヴァロでもいつものように、物資調達のために、K-market(スーパー)に寄りました。とても綺麗なお姉さんが店員をしていたので、下心のある方は是非行ってみてください。

 スーパー休憩を終えて、しばらく行くと、面白い形の教会が見えました。モダンな雰囲気で、十字架がなければ教会とわからないような建物です。

 教会に吸い寄せられて、自転車を止めたのですが、今度は、その建物のすぐ近くに生えていた草に、目が止まりました。

 白いフワフワとした綿のようなものが先っぽについた草でした。あたり一面、この草に覆われています。

 ワタスゲです。北極圏では目にすることが多い植物です。

 この当時、初めてワタスゲを見た私は大興奮。趣味で、自宅で綿花を1株だけ栽培したことのある私としては、とても興味深い植物でした。

「うわ〜、綿みたいじゃん!」

と思って近づいて行ったら、すぐそこが沼であったことに全く気が付かず、私のランニングシューズの先端があっという間に水に浸かりました。靴の中に冷たい水が流れ込む感触に、気分が下がります。

「うへ〜」

 またしても、ポンコツっぷりを発揮してしまいました。

 ワタスゲは基本的に沼地のようなジメジメした土地に生えています。なので、ワタスゲが群生している場所で、草で地面が見えない時は足元に要注意です。大体、水とセットなので、靴がびしょ濡れになる可能性が高いです。

 

夏場のハスキー犬観光

 さらに行くと、ハスキー犬の看板がありました。

 どうやら、冬に観光用の犬ぞりをしている施設で飼っている犬たちを、夏場は動物園のように見学できるようです。ハスキー犬好きの私としてはたまりません。ハスキー犬はオオカミによく似ていて、かっこいいのです。寄って中を見ていくことにしました。

 当時の日記を見ると、「8euroも取られた」と書いている自分もいましたが、結果的には自分にとってはそれ以上の価値があったような気がします。

 どうやら、シベリアンハスキーなどの近隣のハスキーだけでなく、アラスカなど色々な地域のハスキー犬を飼っているようでした。

 そして、なんとそこには、あのホッキョクギツネVulpes lagopus(Arctic Fox)までいました!

 私のテンションは爆上がりです。

 普通のキツネVulpes vulpes(Red Fox)は北海道でもよく見るので、正直見飽きていましたが、ホッキョクギツネはレアものです。名の通り、北極圏に生息するキツネなので、日本では見ることはできませんし、フィンランドでもかなり北の方に行かないと出会えません。

 ちなみに、私のプロフィール写真も撮った場所は違いますが、このホッキョクギツネです。可愛いですね。いや〜、可愛い。

 さらに驚いたことに、フィンランドでは珍しい、イノシシまでいて、動物好きとしては、とても満足できました。

なぜいるのかわからないウズラ

 ハスキー犬だけの場所じゃなかったんですね!

 

まとめ

 自転車旅5日目、この日も様々な出来事がありました!

まとめ
  • イヴァロ空港でまさかのお休みを経験し、旅の常識を覆されました。フリーWi-Fi欲しいんだけどなあ。
  • オオカミへの夢は、森の奥からの遠吠えで膨らんで、友人の冷静な一言で一瞬で萎みました。
  • 珍しい植物に興奮するあまり、足元を見ずにランニングシューズを犠牲に。皆さんもワタスゲに吸い寄せられないように注意してください!
  • ハスキー犬がいると思ったら、ホッキョクギツネやイノシシに会えました。不思議。

 今回はなんとなく前半と後半に分けてみました。後半はノーミス&ノーポンコツで進めたいと思います。

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