【この記事の目的について】 この記事では、フィンランド人やサーミ人が「アジア系なのか、ヨーロッパ系なのか」を決めつけることを目的としていません。遺伝学・古代DNA・言語学などの研究から、彼らがどのような祖先集団とつながっているのかを見ていきます。
「フィンランド人やサーミ人は日本人と同じアジア系」
「フィンランド人が日本人に気質が似ているのは、アジア系だからだ」
という投稿やコメントをSNSで目にすることがあります。
本当でしょうか?
日本人はフィンランド人のアジア系のルーツを気にしすぎているように感じましたが、私には、どこまで正しくて、どこからが間違いなのか、わかりませんでした。
なので、サーミやフィンランド人がアジア系と呼ばれる理由を、主に遺伝子的な視点から調べてみることにしました。
分かったのは意外な結果です。
サーミ人の祖先(≒フィンランド人の祖先)1は、1万年前に北欧にたどり着いたとされています。当初、この祖先がシベリア系であることが、サーミ人がアジア系と言われる理由だと思っていました。
ところが、調べていくと、フィンランドやサーミ人のルーツは、「アジア系」という言葉だけでは言い表せないことがわかりました。
詳しく見ていきましょう!
※「そも、遺伝学は数値だけで判断できる単純なものなのか?」という疑いながら、文章をお読みください。
駐日フィンランド大使館の見解
ひとまず、駐日フィンランド大使館のXの投稿を見てみましょう。
フィンランド人はアジア系と言われますが、自然人類学上ではコーカソイド。アジアの極西端であるウラル山脈付近を故郷とする民族です。人種はコーカソイドでありながらも、出自が地理上ではアジアのため、フィンランド人=アジア人=モンゴロイドという間違った説が広まったようです。
— 駐日フィンランド大使館 (@FinEmbTokyo) February 8, 2012
フィンランド人はアジア系と言われますが、自然人類学上ではコーカソイド。アジアの極西端であるウラル山脈付近を故郷とする民族です。人種はコーカソイドでありながらも、出自が地理上ではアジアのため、フィンランド人=アジア人=モンゴロイドという間違った説が広まったようです。
駐日フィンランド大使館のXポストより
2012年当時の説明では、フィンランド人はモンゴロイドではなく、コーカソイドであることがはっきりと伝えられています2。
(現在の人類遺伝学は、もう少し複雑なので、「モンゴロイド」「コーカソイド」といった人種カテゴリー分類を以前より使わないように見えます)
かなりざっくりですが、簡潔で良い説明だと思います。
ただ、せっかく調べたので、語らせてください。ここからは、遺伝学的な話なので、噛み砕いてはいますが、少し難しくなります。
遺伝学的に祖先をたどる3つの方法
本題に入る前に、遺伝学的な手法について説明します。
遺伝学的に祖先をたどるとき、使う遺伝情報は主に3つです。
それは、常染色体、Y染色体(性染色体)、mtDNAの3種類です。
それぞれの特徴は、調べられる性別が異なることです。
| 父系 (男性祖先) | 母系 (女性祖先) | |
| 常染色体 | ○ | ○ |
| Y染色体 | ○ | × |
| mtDNA | × | ○ |
常染色体は、男女共通に持つ遺伝情報、Y染色体は、父系の遺伝情報、mtDNAは、母系の遺伝情報を調べるために、それぞれ使われます。
このように、父系と母系で分けて調べた方が、細かい遺伝経路がわかるのです。
用語説明:ハプログループ
こちらの記事で使う用語「ハプログループ」について、説明します。
ハプログループとは?
‥共通の祖先を持つ人々に受け継がれてきた、特定の遺伝子グループを指します。Y染色体やmtDNAの分析に用いられ、人類の移動経路をたどる上で重要な手がかりとなります。
常染色体の研究
まずは、常染色体を調べた研究から見ていきましょう。
常染色体の研究からは、両民族の遺伝子に、シベリア祖先由来のものが入っていることがわかっています。
その割合を、下の表にまとめました。

▶︎詳細はこちら!
「サーミ人ってどんな人々?|言語学・考古学・遺伝学的に見た北欧先住民のルーツ」
この表から、サーミやフィンランド人は共通して、シベリアに由来する遺伝子を一部持っていることがわかります。
これがサーミ人やフィンランド人がアジア系と言われる理由の一つです。
「このシベリア系遺伝子はアジア系なのか?」はここでは置いておきましょう。
常染色体に限っていえば、
- サーミ人の4分の3以上はヨーロッパ系の遺伝子
- フィンランド人の9割以上はヨーロッパ系の遺伝子
ということも事実として言っていいでしょう。
(現代的な意味での「ヨーロッパ系」「シベリア系」「アジア系」に綺麗に分けられるわけではない)
さらに詳しくみるために、Y染色体とミトコンドリアDNAの観点から、この二つの民族の祖先を調べてみましょう。
Y染色体とmtDNAの研究:フィンランド人とサーミ人の遺伝子
ここでは、フィンランド人やサーミ人の起源を調べた3つの研究を取り上げます。
研究①:サーミがヨーロッパの中で特異な遺伝子を持つのはなぜか?
まずは1つ目の研究(Tambets et al. 2004)です。
[分かっていること]
サーミは他のヨーロッパ人と遺伝的にかけ離れた集団である
[従来の仮説]
コーカソイド系とモンゴロイド系の混血が原因では??
母系:ヨーロッパ系ハプログループU5b1b1が大部分

サーミ人のmtDNAは、9割近くがヨーロッパに広く存在する遺伝子です。そのうち、U5b1b1という非常に珍しい遺伝子系統が大きな割合を占めています。
これは、南西ヨーロッパを起源とした母系遺伝子系統のサブグループです。この系統がこれだけ大きな割合を占めていることが、サーミ人の母系遺伝子の最大の特異点です。
父系:シベリア系ハプログループN3が半分程度

サーミ人のY染色体は、N3というシベリア由来の遺伝子系統が半分程度を占めています。
これは、父系遺伝子系統の遺伝子3で、他のヨーロッパ地域でも見られますが、そこまで多くもありません。
サーミ人の遺伝的系統に関して、
- 【母系】ヨーロッパ系の中で珍しいU5b1b1が約半分
- 【父系】ヨーロッパでは比較的珍しいシベリア系のN3が約半分
→二つの異なるルーツを持つ珍しい系統が共存していることが、サーミ人が他のヨーロッパ人から遺伝的に大きく離れている最大の理由
特に、シベリア系のN3は東ヨーロッパでも見られます。
つまり、サーミ人の遺伝子が他のヨーロッパ人と離れているのは、シベリア系の遺伝子が入っていることだけでは説明できないということです。
ただ、フィンランド人もサーミ人もシベリア系の遺伝子を持っていることも否定できません。
これらを念頭に置いて、「サーミ人やフィンランド人が持つ遺伝子は本当にアジア起源の系統と言えるのか?」という部分について、次の論文でもう少し深掘りしましょう。
研究②:ハプログループN(N3)の起源
2つ目の論文(Rootsi et al. 2006)はシンプルな内容ですが、ハプログループNのルーツを探る上で、最も引用される重要な論文の一つです。
この論文は、遺伝的多様性が高い場所がその系統の起源であるという理論(STR多様性の高さ)と、最も古い系統(祖先型の存在)が見つかる場所が起源であるという理論に基づいて、ハプログループNの起源を調べました。
(ただし、ハプログループN内の変異同士でも、遺伝的距離はさまざま)
その結果、ハプログループNの遺伝的多様性は、アジア圏の方が高いことがわかりました。
- ハプログループNの起源は東南アジア(約1万9000年前)
- ハプログループN3の起源は中国北部(約1万2000年前)
つまり、論文①と②の結果を合わせると、サーミ人・フィンランド人に比較的多いY染色体ハプログループN系統は、遠い過去に東アジア方面に起源を持つ系統であることがわかります(「人類はアフリカ起源」と似たような意味で)。
ただし、ここは現在も研究上の議論がある部分ですので、断定はできません。
あくまでこの論文を信じるならば、
サーミ人やフィンランド人は「アジア由来の遺伝子」を持つ
とも言えます。
(「アジア系の遺伝子か?」と聞かれると、私にはよくわからないです)
それでは、これらの遺伝子はいつ、北欧に流入したのでしょうか?
研究③:古代の遺跡の遺伝子から調べるシベリア祖先の起源
3つ目の研究(Lamnidis et al. 2018)です。
この論文では、古代遺跡の遺体からゲノムデータを抽出して、現在のフィンランド人やサーミ人と比較することで、その起源に関する証拠を見つけました。
- 北欧で初めてハプログループN1c(=N3)4が約3,500年前の遺跡から発見された
- 鉄器時代のサーミ人祖先の居住域は、現在よりも広範囲だった
- 現代のフィンランド人に至るまでには、さらに複数回の遺伝的流入(移民)があった
この論文では、3977(±77)年前にシベリア系祖先の大流入が起きたと推測しています。
つまり、冒頭で触れた通り、現在のサーミ人・フィンランド人につながる祖先集団は、1万年前に北欧にすでに北欧に居住しており、そこに、シベリア系祖先の遺伝子が流入したことになります。
まとめると、
×シベリア系のサーミ・フィンランド人の祖先にヨーロッパ人の血が混じっていった
○ヨーロッパにいたサーミ・フィンランド人の祖先にシベリア系(アジア起源?)の遺伝子が複数回混じった
ということです。
私はてっきり、1万年前のサーミ・フィンランド人のご先祖さま自体がシベリア系だと思っていた5ので、後からやってきていたことにびっくりしました!!
(私はこの時点で、「普通にフィンランド人、元々ヨーロッパ人だったところにシベリア系がちょっと混じっただけやん!」って思いました)
フィンランド語とサーミ語はいつ北欧に来たの?
実は、1万年前に北欧に住んでいたサーミ人の祖先が、ウラル語族(=フィンランド語・サーミ語の言語グループ)の言葉を話していたわけではないというのは、言語学の分野では言われていたことです。
というのも、ウラル語族の祖語が一番最初に分かれたのは、約5,300年前の中央ユーラシアと言われており、その頃にはサーミ人の祖先はすでに北欧にいました。
ウラル語族が形成される前に、その言葉を話すことは実質的に不可能です。

ただ、3,500年前に北欧に来たシベリア系の祖先が、ウラル語族の言葉(サーミ語やフィンランド語の祖先的言語)を話していたのかはわかっていません。そのため、いつ北欧に来たのかは正確にはわかりませんが、3,900〜2,500年ほど前だと考えられています。
どちらにしても、サーミ語やフィンランド語の元となる言語は、後からきて、北欧の主要な言語の一つとなりました。後から来た言語が、現在フィンランドなどで優占していると思うと、不思議で、面白いですね!
(というか、この謎こそが、フィンランド人の起源を考える上では、一番面白い! マジで!!)
フィンランド人やサーミ人はアジア系か??

これまで見てきたように、サーミ人やフィンランド人に多く見られる父系遺伝子ハプログループN3は、約1万年前(11,800年前)に東アジアで誕生したと言われています。そして、この遺伝子を持つ集団が約3,500年前に北欧に入りました。
つまり、フィンランド人やサーミ人がアジア起源の遺伝子(広い意味で)を一部持っているのは、遺伝学的に事実と言ってもいいのではないかと思います。
では、この事実をもって、彼らを「アジア系」と呼んでしまって良いのでしょうか?
問いかけ:1万年前ののルーツ「アジア起源」=アジア系なの?
ここで、議論を整理するために、私たち日本人にもわかりやすいよう質問を変えてみましょう。
- 世界中の人はアフリカから来ました。日本人はアフリカ系でしょうか?
- あなたは日本国籍ですが、3500年前のお祖父さんが1万年前の中国系の祖先を持っています。あなたは中国系日本人ですか?
私なら「いつの話やねん!!」と思います。私は日本に生まれ、日本の文化の中で生きています。「何系」のような単一のルーツで、その国の人を語るのは、大雑把です。
そもそも、アジアが起源だとしても、論文の中で「シベリア系」と書かれているのは、シベリアに至る中で、元のアジアの遺伝子が別のものになっていると遺伝学上考えられているから、と捉えるのが妥当ではあります。
(今回の記事は無理やり探った感あり。好奇心に勝てなかったので。)
まあ、私のフィンランド人の友達なら、
「え、フィンランドに生まれたから、フィンランド人じゃね? 知らんけど」
くらい興味なさそうですが笑
ただ、民族というのは、戦争の火種にすらなる、かなり繊細な問題だということはお忘れなく。
(ロシアがウクライナに侵攻した理由も同一民族を救うため、という名目を掲げていたはず)
追記:遺伝的勾配について
「アジア系なのか、ヨーロッパ系なのか?」という二項対立はわかりやすいのですが、単純化しすぎでもあります。
遺伝子の連続性は、どこかスッパリ区切れるものではなく、なだらかな勾配になっているからです。
想像してほしいのですが、ある遺伝学的集団が移動すると言っても、遺伝子の交わりは一方的に乗っ取るように起きるものではなく、双方向に起きます。新しくできた集団は、元の方向から来た集団とも、反対側から来た集団とも交わっているわけで、それがさらに先の集団と交わっていくので、途中の集団はどちらの集団とも呼べない状態になり、それがさらに新しい集団と交わって……。
……考え出すと、こんがらがるくらい複雑です。
この遺伝子の連続性を踏まえた上で、最新の遺伝学的マッピングの研究を見てみましょう(Zeng et al., 2025)。

現代のウラル語族(フィンランド人やサーミ人、ネネツ人など)の遺伝的特徴の基礎の一つとなったのが、北東シベリア(レナ川流域)で形成されて西へ移動した集団(Yakutia_LNBA)です。
この集団は約4000年前に青銅器を伝えながら、西に移動したと考えられています。元々いた現地の集団やヨーロッパ側から来た集団(Europe_LNBA / Steppe_LNBA)と混じり合います。これが、現在のウラル語族グループになりますが、同じウラル語族といっても、その遺伝構成には東西でなだらかな勾配ができています。
なので、この論文を踏まえると、
北欧・北ユーラシアにいた複数の祖先集団が、長い時間をかけて移動・混合し、そこにシベリア方面の遺伝的要素を持つ集団も交わった
→サーミ人やフィンランド人の祖先集団
と言えるのではないでしょうか。
ちょっと、長ったるいですが……。
まとめ
それでは事実関係をまとめます。
【確認した事実】
- サーミ人・フィンランド人には、ヨーロッパ側の祖先に由来する成分が大きく存在
- 一方で、シベリア方面と関連する祖先成分(アジア起源)も確認
【理由】
- サーミ人の祖先はヨーロッパ系だが、後からアジア起源の遺伝子を持つシベリア集団が合流したため
とはいえ、サーミ人やフィンランド人をただ単純に「アジア系」と定義する6のは、数値的には少なくとも半分以上のヨーロッパ系の遺伝子と1万年以上のヨーロッパでの時間を無視していることになります。
おまけに、ある人の両親は両方とも純粋日本人なのに、遺伝子構成だけで「君、75%中国人だよ」みたいに決めつけるようで、かなり雑な気がします。
どうせなら、「人類みんなアフリカ系なのだから、仲良くしようぜ!」くらいのノリでいきたいところです。
まあ、さらに言えば、遺伝学的にどこ系とわかったところで、「だから何?」という話でもあります。こういう分類の話って「へえ」とは思うけど、ある程度知ってしまったあとは、あんまり面白くないんですよね。
←なんで調べたんやっ!? ( ∩’-‘ )=͟͟͞͞⊃ )´д`)ドゥクシ
だって、ほら。形態学的特徴でもあるまいし、遺伝的な出自から、その人々の文化や気質まで説明しようとするのは、因果関係を飛ばしすぎているでしょう??7
皆さんはどう思いますか??
※この記事では、説得力を出すために断定的に書いています。ですが、論文の結果は絶対的なものではありませんし、わかりやすさのために、論文の結果を強調しすぎています。疑いながら読んでください。
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参考文献
- Tambets, K., Yunusbayev, B., Hudjashov, G., Ilumäe, A. M., Rootsi, S., Honkola, T., … & Metspalu, M. (2018). Genes reveal traces of common recent demographic history for most of the Uralic-speaking populations. Genome biology, 19(1), 139.
- Tambets, K., Rootsi, S., Kivisild, T., Serk, P., Loogväli, E. L., Tolk, H. V., … & Villems, R. (2004). The western and eastern roots of the Saami—the story of genetic “outliers” told by mitochondrial DNA and Y chromosomes. The American Journal of Human Genetics, 74(4), 661-682.
- Rootsi, S., Zhivotovsky, L. A., Baldovič, M., Kayser, M., Kutuev, I. A., Khusainova, R., … & Villems, R. (2007). A counter-clockwise northern route of the Y-chromosome haplogroup N from Southeast Asia towards Europe. European Journal of Human Genetics, 15(2), 204-211.
- Lamnidis, T. C., Majander, K., Jeong, C., Salmela, E., Wessman, A., Moiseyev, V., … & Schiffels, S. (2018). Ancient Fennoscandian genomes reveal origin and spread of Siberian ancestry in Europe. Nature communications, 9(1), 5018.
- Honkola, T., Vesakoski, O., Korhonen, K., Lehtinen, J., Syrjänen, K., & Wahlberg, N. (2013). Cultural and climatic changes shape the evolutionary history of the Uralic languages. Journal of Evolutionary Biology, 26(6), 1244-1253.
- Hanel, A., & Carlberg, C. (2020). Skin colour and vitamin D: An update. Experimental Dermatology, 29(9), 864-875.
- Zeng, T. C., Vyazov, L. A., Kim, A., Flegontov, P., Sirak, K., Maier, R., … & Reich, D. (2025). Ancient DNA reveals the prehistory of the Uralic and Yeniseian peoples. Nature, 1-11.
- Takala, H. O. The Ristola Site In Lahti And The Earliest Postglacial Settlement Of South Finland (Lahti City Museum, 2004).
脚注
- この記事では、「フィンランド人がサーミ人と分岐して生まれた」という考えを前提に、話を進めます。 ↩︎
- フィンランド人がアジア起源(モンゴロイド系)であるという学説
『物語 フィンランドの歴史 北欧先進国「バルト海の乙女」の800年』(石野裕子著 2017 中公新書)によると、フィンランド人のアジア人起源説は、19世紀にヨーロッパの言語学の分野で主張された、非常に古い学説です。日本では、戦中〜戦後に言語学者の今岡十一郎が広めた説と書いてあります。今では、ウラル語族(フィンランド語)とアルタイ語族(かつて日本語をも含む語族とされた“アジア系”言語グループ)を結びつける考えは、主流ではありません。 ↩︎ - 父系のハプログループR1aについて
この記事では、ハプログループR1aをヨーロッパ系に分類しています。なぜなら、ヨーロッパで一般的とされるハプログループだからです。しかし、これも元を正せば、モンゴルの北方向にあるのロシア領バイカル湖周辺〜中央アジアに起源がある遺伝子系統とされています。これを根拠に、ヨーロッパ人もアジア系と言ってしまうこともできるはずです。ところが、注目されるのはN3です。N3だけ特別視するのってどうなのでしょう?? ↩︎ - N3とN1c
ハプログループの国際的な命名法が変わったため、N3はN1cと呼ばれるようになりました。ややこしいですね。 ↩︎ - 1万年前サーミ人祖先がシベリア系とされていたのはいつまでか??
論文を読む限り、2000年代は、まだ1万年前のサーミ人の祖先はシベリアから来たとされている記述が目立ちます。しかし、2010年代に入ると、サーミ人の元から北欧にいた祖先はヨーロッパ系であると考えられるようになっていったようです。知識はどんどん更新しないと乗り遅れてしまいますね! ↩︎ - アジア系は「思い込み」〜フィンランド民族の起源について〜
『北欧世界のことばと文化』(岡澤憲芙・村上誠人編著 2007 成文堂)という本の中で、フィンランド語業界で有名な吉田欣吾さんは、フィンランド人をアジア系民族だとする「思い込み」について、
そもそもある集団の起源を一つに求めること自体が時代錯誤的態度である
と述べています。
私もこの意見に同意します。
また、『物語フィンランドの歴史』(石野裕子著 2017 中公新書)も、フィンランド人はアジア人ではないとはっきり否定しています。こちらは考古学的視点や言語学的視点から説明されていますが、私の視点とはまた異なるので、興味があれば一読ください。
↩︎ - 遺伝子と文化の関係について
たとえば、フィンランド人に特定の遺伝的特徴があるからといって、「遺伝子がフィンランド人をサウナに入らせる」わけではないです。文化や気質には、歴史や社会、環境など、さまざまな要因が関わっています。遺伝的な特徴と文化的な特徴の間に、もし統計的な相関が見つかったとしても、それだけで「遺伝子が文化を生み出した」と考えることはできません。だから、「まあ、調べたところでね〜」という気持ちになります。 ↩︎



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