こんにちは。ズッキーです。
前回の記事で、マウリッツハイス美術館のカフェ『Brasserie Mauritshuis』でお昼を食べた私たちは、美術館に再入場して、フェルメール以外の作品を鑑賞しました。
フェルメール以外の有名作品

展示室に戻った私たちは、3階へ直行。
まず、フェルメールの作品を拝んでから、続きから絵を見ます。
マウリッツハイス美術館の作品群の中で『真珠の耳飾りの少女』がズバ抜けて有名ですが、フェルメール作品以外にも著名な作品があります。
レンブラントの作品
『テュルプ博士の解剖学講義』1632

この『テュルプ博士の解剖学講義』は、解剖学講義がテーマでありながら、その実、メインは肖像画であるとも言っていいでしょう。その証拠に、処刑され、解剖されてる犯罪者のアーリス・キント氏1以外の全員が、レンブラントに画料を払いました。
それぞれが、個性豊かな表情をしていますね。
中でも、正面。
「私、神託受けました!」みたいな、凛々しい顔をしているのが、テュルプ博士です。よく見たら、イケおじです。グレーっぽい目をしています。画料も一番払ったことでしょう。
この解剖学講義は、アムステルダムの外科医ギルドが行なっていたものです。服装を見ると、みなさん、正装をしているのがわかります。一種の社交的イベントだったのかな、と感じられます。
見学料を徴収して、お客さんも呼んでいたようですよ。
ちなみに、外科医ギルドは、私が2日目に自転車で通ったアムステルダムの聖アントニウス門に居を構えていました。
『自画像』1669

レンブラントの晩年の作品です(というか、亡くなった年)。
X線を使って分析したところ、元々は、白い帽子をかぶっていたけど、ターバンに修正しているそうです。『真珠の耳飾りの少女』もそうですが、東インド会社が富を持ってきた時代、ターバンが流行っていたんですかね??

晩年は、時代の流行(画風の変化)についていけず、借金で首も回らず。泣き面に蜂の様相だったレンブラント。ただ、現代のレンブラント・ファンからは、「晩年の作品の方が色気があって良い」とかいう話を聞きます。
遠くから見ると、柔らかくも見えるのに、近くで見ると荒々しい筆使い。
そう聞くと、筆使いの荒々しさの中に、どっしりずっしりとした年齢の重みが感じられるような気がしてきます。気がするだけかもしれませんが…… ᐠ( ᐛ )ᐟ
ルーベンスの作品
次は、レンブラントとは打って変わって、宗教画を描いて、懐が潤っていたルーベンス。フランドル2の巨匠であります。
『聖母被昇天のための下絵』(アントワープの聖母大聖堂の下絵)

ぜひ見てほしいのが、ルーベンスの『聖母被昇天のための下絵』。
こちらは、アントワープの聖母大聖堂(ノートルダム大聖堂)に飾られた祭壇画の下絵です。
アントワープの聖母大聖堂(ノートルダム大聖堂)といえば、アニメ『フランダースの犬』に出てくる、ネロとパトラッシュが最後に昇天していく場所として有名です。ネロが死ぬ前に見た絵そのものではないのですが、その教会の中央奥に飾られているルーベンスの絵画の下絵が、このマウリッツハイス美術館にあります。
下絵をパトロンに見せて、「こんな絵でいいですか〜??」と聞いて、諒解を得てから、本番を描いていたわけです。
もし、アントワープに行く機会があれば、この絵を見比べてみるのがおすすめです。意外と違うところが見つけられて、面白いですよ。
『ろうそくを持つ老女と少年』1616 – 17

ルーベンスが死ぬまで手元に置いていたというこの絵。
しわしわのお婆さんの肩越しに、少年が蝋燭の火を移そうとしています。老女が少年に引き継ぐのは、蝋燭の火だけではないようです。
「おばあちゃん、あなたの火を僕にわけておくれよ」
と囁いているみたい。
良い話にも、ホラーにも受け取れます。
ヤン・ステーンの作品
オランダ風俗画の代表ヤン・ステーンは、なかなか俗っぽい絵を描きます。
『老いが唄えば、若きは笛吹く』
公式HPでは、『この親にしてこの子あり』と訳されています。美術館の公式ガイドブック(日本語)では、『老いが唄えば、若きは笛吹く』と書いてあったので、こちらを採用(同じ画家による同名の作品はほかにもあるようなので、注意)。

一見すると、日本の正月のような賑やかさで、楽しそうな家族です。子供が洗礼を受けたので、そのお祝いをしているのです。
でも、よく見てください。
左手に窓。
盃に葡萄酒を注がれる女。
置かれた水差し。
小物を一つ一つみると、17世紀のオランダ絵画でよく見る構図が描かれています。ただ、一コマなのに、最近の尾田栄一郎並みの情報量の多さです。
説明を頑張らないといけません。
まずは、左側の女性に注目します。
一般に、注がれる葡萄酒は媚薬の意味を持ち、襟ぐりの開いた服は、性的な意味 or ただのファッション、炭の入った足温器が足の下に置かれていると、男をドレスの内側に引き込むという意味があると言います。
なんだか、そう言われると、エッチな絵に見えてきます。
酒飲んで、足をあっためているだけなんですけどね。でも、ドレスの下から足をのぞかせるなんて、当時の感覚からしたら、エッチな感じなんでしょうかね。
え、考えすぎ??
いやいや、近世ヨーロッパにおいて、当時の西洋人的に足がどれくらいエロかったか。ぜひ『傾国の仕立て屋 ローズ・ベルタン』などを読んで、勉強していただきたいっ!!
話が脇に逸れました。この画の主題に戻りましょう。
『老いが唄えば、若きは笛吹く』はオランダの格言。「年長者の行いは若いものが真似するよ」という警告です。
「老いが歌えば」は中央で、歌詞を見ながら、歌っている老女。「若き」は一番右側にいる洗礼を受けた少年。
黒い鍔付き帽を被ったその父親は、笛の代わりに白いパイプを少年の口に吸わせています。
左側の祖父が被っている帽子は、洗礼を受けた子供の父親が被るもの。爺さんが被るということはどういうことかを、その爺さんに寄りかかるように描かれた、先ほどのエロい母親の姿が説明しています。
さて、この家族で育った子供はどうなるのか。
「あれ、実はヤバい絵じゃね??」と一発で気がついたあなた。
素晴らしい観察眼です!!
おそらくは、ヤン・ステーン流のブラックジョークなのでしょう。
騙し絵『ゴシキヒワ』

ファブリティウスは、レンブラントの弟子の中で、才能が高かった人物です。フェルメールの師匠の一人という説もあります。つまり、フェルメールはレンブラントの孫弟子???
話を元に戻します。
そんな才あるファブリティウスですが、不幸にも、1654年のデルフトの火薬庫爆発で死亡。絵の多くも燃えてしまったらしく、現存する絵画がとても少ない画家さんです。
こちらは、『ゴシキヒワ』という作品。
ゴシキヒワは、芸を覚えさせることができたとかで、当時人気があったそうです。
この絵を壁にかければ、まるでそこに鳥がとまっているかのように、止まり木ごと、リアルに描かれています。足を鎖でつながれていて、少しかわいそうなところまで、リアルです。
ただ、昔、神戸の美術館で『騙し絵展』を開催していたときに、この手の絵をたくさん見たので、私は特に感動しませんでした。ごめんね。
ボッテルの牛さん『牝牛』
画家は、ハリー・ポッターと同じ綴りのポッテルさん。

牛さんの絵は良かったのですが、修復中だったので、絵自体が少し見にくいのが悲しかったです。
博物館展示学的には、修復中の絵を飾るのはとても重要なことなのですが、私のような美術素人は、綺麗な絵の全体像を見れた方が嬉しいのです。
オランダっぽい絵だから、もっと、じっくり見たかったんですけどね。
牛の背中とかに描かれているハエとかがリアルなはずなんですよ!!
でも、遠くてよく見れなかったんですっ!!
ところで、この当時の牛さんはどれくらいミルクを絞れたのでしょうか??
わたし、気になります!!
(おそらく、今の牛の半分もいかないくらいではないかと予想しています)
個人的お気に入り作品
イギリスの鷹匠『ロバート・チェスマンの肖像』

ヨーロッパでは、鷹匠は貴族の特権だったようです。
こちらは、イギリスの貴族の絵です。
鷹匠の絵を見るのは初めてだったので、おもわず写真をパシャリ。イギリスとオランダで同君連合を組んでいたときに、こちらに運ばれたそうです。イギリスには返してと言われたけど、スルーしたみたいです。
鷹匠といえば、日本でも、徳川将軍が鷹で狩った雉を、天皇に献上していたりもするくらいでしたから、特権階級の遊び。ヨーロッパとアジア。こんなに離れていても、似たような文化が花開いていたと考えると、おもしろいですね。
『絶品!別嬪!オイスター娘』ヤン・ステーン

こちらは、ヤン・ステーンが描いた、『絶品!別嬪!オイスター娘』という作品です。
ごめんなさい、嘘つきました。『牡蠣を食べる娘』です。
さて、女性が持っている、牡蠣をご覧ください。
この牡蠣、なんと、あの(!?)ヨーロッパヒラガキ Ostrea edulis です。ご覧の通り、スープ用スプーンが如く、平たく丸っこいのが特徴です。通常のスプーンのように細長い日本の真牡蠣 Crassostrea gigas とは見た目が全然違いますね。それだけで、大興奮です!
……おほん。
絵について、さらっと説明します。美しい少女が、牡蠣を手に持ち、塩をかけています。美味しそうなプリっとした牡蠣です。
「なんだ、ヤン・ステーン。あんた、卑俗な絵以外も描けるじゃないか」
と上から目線で考えたところで、もう一度絵を見直します。
「ん、あれ??」
牡蠣は媚薬の効果を持ち、女性の右後ろに描かれているのは、カーテン付きのベッド。
もう、おわかりですね?
ヤン・ステーン、こんなのばっか。
いやん、やん・すてーん。
カメさん『キアシガメ2匹の習作』アルベルト・エックハウト

西インド会社をご存知でしょうか?
大航海時代以降、ざっくり希望峰(アフリカ最南端)の西側を西インド、東側を東インドと呼びました。オランダは東インド会社だけでなく、西インド会社も設立し、ほんの少しの間だけ、ブラジルなどに進出しています。
このカメは、その南米のカメさんです。
ヨハン・マウリッツは、オランダ領ブラジルの総督もしていましたからね(美術館の名前「マウリッツハイス」は「マウリッツさんの家」の意味)。
調査したものを絵に残したそうです。
サテンの壁紙(壁布)
この壁布の模様、よくみると、サンリオとか妖怪ウォッチのキャラクターに見えます。

可愛くないですか?
わたしだけ??
ただ、壁から、手が出ていて、少し怖いところもあります。

真珠の耳飾りのミッフィーと記念撮影
15番の部屋に戻ると、アジア系のインフルエンス与えていそうなお兄さんが『真珠の耳飾りの少女』と写真撮影していました。
私たちも順番待ちして、写真を撮ったり、ぼーっとしたりと、各々の時間を過ごしました。
それから、妻が満足するまで、フェルメールの絵の前にはりついて30分以上。
……気が付けば、午後4時前。
最後に、ミッフィーちゃんとフェルメール作品をツーショット。
素敵な思い出になりました。



途中、ミッフィーちゃんの服がはだけてしまって、妻に叱られました。
ごめんよ。
まとめ
- 絵は、近くで見るか、遠くで見るかで印象が違う
- ヤン・ステーンの絵は、「いやん、やんすてーん」で楽しもう!
- 絵だけをみると、つまらないかもしれないけど、絵の背景を想像したり、日本のものと比較すると面白いことも?
私の絵画の楽しみ方を目一杯、自由に書いてみました。
皆さんが、マウリッツハイス美術館に行ったときに絵を楽しむきっかけになったら、幸いです。
それでは〜! Ciao!
参考文献
- 『Mauritshuis 日本語』Quentin Buvelotほか著 Epic Runia編(マウリッツハイス美術館公式ガイドブック)
- マウリッツハイス美術館公式HP(https://www.mauritshuis.nl/jp)2026.8.9アクセス




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