「陶器と磁器の違いってなんだ??」
それは、人生で一度はぶつかる疑問です。……そんなことないか(/ ᐕ)/
私が疑問に感じただけです。
そこで、陶器と磁器の違いについて、調べてみました。
「ただの食器だろ?」と思った、そこのあなた。陶磁器を舐めていますね。磁器製造の技術は、スマホやパソコンを動かすコンデンサや、車のエンジンのプラグにも使われる、超ハイテク技術にまで発展しているのです。
焼き物の深淵な世界。最後まで、目ん玉かっぽじって読んでください!
陶器と磁器の違いって?
簡単に言えば、陶器は土、磁器は主に石から作られます1。

| 陶器 | 磁器 | |
| 原料 | 粘土 ・木節粘土 (炭化した木主体) ・蛙目粘土 (カオリン主体) | 磁土(鉱石の組み合わせ) ・陶石(石英、セリナイト等) ・長石 ・カオリン ・珪石 ・骨灰(リンカル) ・ドロマイト |
| 温度 | 1200℃前後 | 1300℃前後 |
| 素地 | ・気孔が多く、粗い ・吸水性がある ・叩くと鈍い音 ・ざらざら ・土色〜黒色 | ・気孔が少なく緻密 ・吸水性なし ・叩くと金属質な高い音 ・硬質 ・白っぽい色 |
土器…粘土を整形して、800℃前後で焼いた素焼きの器。広い意味で、陶器に含まれます。
あの有名ブランドは陶器? 磁器?
陶器と磁器で、原料が違うこと、それゆえに、焼くときの温度が違うことはお分かりいただけたと思います。
でも、具体例がないとわかりにくいのでは?
ということで、身近な食器を、陶器と磁器に分類してみましょう。いまどき、一般家庭だと、陶器より磁器の方が多いのではないかと思います。我が家の主力食器を見る限り、イオンやニトリに売っている食器は、ほぼ磁器とみて間違いないかなと思います。
イメージでは、割れにくい土鍋は陶器製ですね。陶器は、底が茶色っぽいものが多いです。


| 陶器 | 磁器 | |
| 日本 | 信楽焼 萩焼 唐津焼 益子焼 萬古焼 丹波焼 備前焼 やちむん | 有田焼 波佐見焼 砥部焼 |
| 瀬戸焼 九谷焼 美濃焼 常滑焼 薩摩焼(現在は陶器) | ||
| 陶器 | 磁器 | |
| 中国 | 宜興 | 景徳鎮 |
| 台湾 | 鶯歌(▶︎鶯歌で台湾茶器を購入した話) | |
| ヨーロッパ | Royal Delft 🇳🇱 Zakłady Ceramiczne BOLESŁAWIEC🇵🇱 | Iittala 🇫🇮 Arabia 🇫🇮 Rörstrand🇸🇪 Gustafsberg🇸🇪 Meissen🇩🇪 Augarten🇦🇹 Wedgwood🇬🇧 Royal Copenhagen🇩🇰 Ginori1735🇮🇹 |
| Sèvres🇫🇷 Raynaud🇫🇷 Vista Alegre🇵🇹 Villeroy & Boch🇩🇪(🇱🇺) Herend🇭🇺 | ||

陶器と磁器のざっくり歴史
土器は世界中各地で生まれましたし、陶器も世界各地で作られました。縄文土器や弥生土器はみなさん、ご存知でしょう。フィンランドでは、紀元前4200年ごろから、櫛目文土器というものが作られています。
土器は、土と火があれば、なんとなく作れたわけです。
しかし、磁器は、間違いなく中国の発明です。タネがわかれば、石を砕いて混ぜるだけなのですが、なかなかその塩梅が難しかったのでしょう。
中国、唐の時代(618〜907年)に、色彩のある唐三彩(陶器)や肌のなめらかな白磁が生まれます。イスラム圏(アッバース朝)では、これを真似して、彩色ある陶器が作られ、それがヨーロッパに伝わって、イスラム支配下のスペインや、イタリアのマヨルカで色彩豊かな陶器(錫釉陶器)に発展します。
14世紀以降、明の時代に入って、この中国産磁器が盛んに輸出されるようになります。そして、15〜16世紀に、ポルトガルが東アジアまで航海できるようになると、中国磁器がヨーロッパまで運ばれることになります。
この超イケてる器を、各国がマネしようと頑張ってはいましたが、磁器の製造法は、長らく不明でした。

(▶︎デルフト焼はなぜ青い? ヨーロッパが「アジアを真似して生まれた陶器」の正体)
磁器の製法が日本に伝わったのは、秀吉の朝鮮出兵の時でした。李参平という朝鮮の陶工を連れ帰り、1616年に、佐賀県の有田(泉山)で白磁の原料となるカオリンを発見します。中国の内乱期(明→清の王朝転換)に重なったこともあり、日本の伊万里や有田で作られた磁器がオランダ東インド会社を通して、ヨーロッパに輸出されることになりました。

ヨーロッパでは、ドイツのザクセン侯アウグスト2世という東洋磁器狂いのおっちゃんが錬金術師ベトガーをとっ捕まえて、磁器の開発をさせます。これにより、1708年に白磁の生成に成功し、マイセン窯の元になります。
マイセン窯で磁器が作られるようになると、ヨーロッパの各王室がマイセン窯の陶工を高額で引き抜くようになります。そうして、ヨーロッパ各地に陶磁器の窯が作られました。
こうして、中国で生まれた磁器は、世界中で作られるようになったわけです。

陶磁器から発展したハイテク技術
器としての歴史はここまで。ここからは現代のテクノロジーの話です。
陶磁器と呼び続けるものアレなので、カッコつけて、セラミックと呼びます。セラミックには2つの性質があります。
- 熱に強い性質
- 電気を通さない性質
これが機械の中にあると、とても役に立ちます。
コンデンサの材料
セラミックは、スマホの部品である、積層コンデンサの材料として使われています。コンデンサというのは、電気が流れる量を一定にする装置です。
意外かもしれないですが、導線の中を流れる電気というのは、一定ではありません。しかし、乱れた電気を精密機械に流すと、簡単に壊れてしまいます。
コンデンサは、電流のダムのような働きをします。電極の層と絶縁体であるセラミックの層を薄くミルフィーユ状に重ねることで、電気が流れる量を一定に調整することができるのです。
考えた人、すごい!
有名な日本の会社…村田製作所、TDKなど
自動車のスパークプラグ
スパークプラグというのは、エンジンを動かす火花を起こす装置です。火花を起こすということは、熱に強くないといけません。また、必要以外のところに電流が逃げても困ります。これをカバーできるのは、セラミックというわけです。
生活になくてはならない存在です。
有名な日本の会社…日本特殊陶業株式会社(世界1位)
まとめ:陶磁器はすごい!
- 陶器と磁器の違いは、原料(土 vs. 石)と質(粗い vs. 滑らか)
- 土器→陶器→磁器の順に生まれた
- 中国磁器は羨望の的だった
- 中国から伝わった磁器の技術が発展して、現代のスマホや自動車を動かしている
陶磁器、深い、深すぎる!\( ᐙ )/
陶磁器すごくないですか??
少しでも、興味を持ってもらえたなら、嬉しいです!
参考文献
- 『世界の食器図鑑 歴史・技法・名品』加納亜美子監修 玄馬絵美子・米山明泉著 平凡社 2025
- 『ヨーロッパ宮廷を彩った陶磁器 プリンセスたちのアフタヌーンティー』Cha Tea 紅茶教室著 河出書房新社 2019
- 村田製作所HP(https://www.murata.com/ja-jp/products/capacitor)2026.3.14アクセス
- NGKスパークプラグサイト(https://www.ngk-sparkplugs.jp/ngk/sparkplugs/basic/qa/000001.html)2026.3.14アクセス
脚注
- 磁器の原料としての粘土
磁器の原料に粘土が使われることもある。産地によっては、元から粘土の構成が磁土に近い場合、複数の鉱物を配合しなくても、そのまま焼いても磁器になることもある。 ↩︎




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