こんにちは。ズッキーです。
「台湾に旅行に行ったとき、道教の寺廟にお邪魔したのですが、道教の神様のことがさっぱりわからず、そこにいらっしゃる神様に申し訳ない気持ちになったのと、流石に馴染みのない神様に何をどう祈っていいのかわからなかったので、自分なりに調べてみることにしました。( ᐛ )و 」の第3弾です!!
もっと身近な道教的風習
道教に関する本を読むと、様々な風習が道教由来であることが紹介されています。
例えば、織姫と彦星の七夕イベントは道教の星辰信仰に由来していることや、日光東照宮で有名な三猿は庚申信仰という道教由来の信仰から発展したという話などが紹介されています[1]。中には、日本の天皇という称号は、道教の天皇大帝から取られたものではないかという説もあるようです[1]。しかも日本で天皇という呼称が使われ始めたと考えられる時代の、唐の皇帝は熱心な天皇大帝信者で、同時期の日本の天武天皇も道教信者だという話もあるらしく、「なるほど」と感じてしまう材料は十分にあります。
さて、お正月の初詣を思い浮かべてください。神社やお寺に行って、お祈りを済ませたあと、おみくじを引きますよね。くじの入った六角形の木の箱をガチャガチャ揺らして、一本出た棒に書かれた数字をお巫女さんに伝えると、その番号に対応したおみくじを渡されます。
このおみくじ、実は中国発祥のものと考えられています[2], [3]。
霊籤(おみくじ)
正確には、おみくじのうち、お寺で引くことができるものは、そのほとんどが中国由来のものです。例えば、浅草の浅草寺では、五言絶句(五言四句)の漢文で書かれたおみくじがもらえます[2]。これは、「元三大師百籖」と呼ばれるおみくじで、中国、南宋の時代に作られた「天竺霊籤」(1250年前後)が元になったと考えられています[2], [3]。
一方、「元三大師百籖」というおみくじは、元三大師良源(912〜985年、平安時代)という日本のお坊さんが作ったものだという説もありますが、これは誤りだと考えられています[2], [3]。
根拠としては以下のことが挙げられています。
- 江戸時代に既に否定されている[2]
江戸時代の日用事典『永代大雑書万暦大成』には、元三大師御籤というのは、中国では観音籤と呼ばれているもので、元三大師良源が作ったものではないということが書かれています。 - おみくじの歴史から見ても中国が由来である[3]
〈中国〉
くじが歴史上に現れたのは、『説文解字』(100年頃成立)という漢字辞典のようなものに籤(あるいは鬮)という文字が出てくるのが最初と考えられます。その後、『玉篇』(543年成立)に竹串の入った筒から一本取り出して卜占することが書かれています。
〈日本〉
『山家集』(平安時代後期〜鎌倉時代、おそらく12世紀?)に、くじ(孔子)に関する歌が詠まれています。これは、現在でいうところのおみくじではなく、歌占という神託を得る儀式のようなものです。 - 現在の形のおみくじの出現[2], [3]
〈中国〉
五代(907〜960年、年代はWikipedia参照)中頃の話ですが、『玉壷清和』という本に「道観(道教の寺院)に古い籖筒があり、その古い籖筒から籖一本を抜き取る遊びをしていて、それに書かれていた五言四句の漢詩を父親に読んでもらった」というような内容の記述があるそうです。また、南宋の時代(1127〜1179、年代はWikipedia参照)には、首都、杭州で天竺霊籖がかなり一般的に流通していただろうということが『癸辛雑識 続集下』という本の記述からわかっています。
〈日本〉
日本にある最古の元三大師百籖(観音籤)は、岩手県にある八葉山天台寺に残るもので、応永十六年(1409年、室町時代)と記されています。これらの漢詩のおみくじは、日本には室町時代かそのもう少し前に伝わって、江戸時代に流行したと考えられています。
色々と面倒くさい事を書きましたが、現在お寺で引けるおみくじは中国にルーツを持つようだと覚えておいていただければ大丈夫です。ちなみに、中国では、道教は中国共産党の管理下にあり、霊籖は迷信に当たるため、これらの風習は一度廃れています。
六曜説
六曜説も道教由来といわれています[2]。六曜説というのは、現代日本では、冠婚葬祭のときに異様に存在感を発揮する暦のことです。六曜説と言われると、「なんじゃらほい?」という感じですが、大安、友引、先勝、赤口、先負、仏滅といえばわかると思います。この六曜説は、中国の宋代ごろに始まったと考えられています[2]。ただし、名称は現在と異なります。
| 現代日本 運勢暦 | 大安 | 友引 | 先勝 | 赤口 | 先負 | 仏滅 |
| 宋代 『事林広記』 | 大安 | 留連 | 速喜 | 赤口 | 小吉 | 空亡 |
当時の中国では、六曜を大安、留連、速喜、赤口、小吉、空亡と表していました[2]。
現在伝存するのは、元・明時代の刊本であるが、その中の『重刊群書事林広記』巻七壬集の「時占門」に「六壬課事」という項目が立てられていて、そこに「赤口、小吉、速喜、空亡、留連、大安」という六曜の名称が出ており、さらにそれを解説して言う。
「大安の時は、木に属す、青龍が事を主る。大いに安くして事が昌んである。財を求めるのは坤の方にある、物を失せても去ること遠くはない、宅舎は安康を保つ、行人(旅行者)の身は未だ動かず、病鬼は殃いを為さない、将軍は旧願に還る。子細は推詳を為す」
「留連の時は、水に属す、玄武が事を主る。留連(ぐずぐずする)すれば事は成り難い、謀を求めるには日が未だ明けないうちに、官事は只だ緩っくりするがよい、去れる者は未だ回程せず、失せ物は巽の上に覔められ、急いで討めれば方に心に称い、更に須らく口舌を防ぐべし、人の口は且つ平平たり」
『日本と道教文化』坂出祥伸 2010
なにやら難しいですが、おみくじの文章を読んでいると思えば、雰囲気は読み取れるでしょうか。大安は、「吉」感に溢れているところが同じですね。留連は、玄武が亀のイメージなのか、玄武に引っ張られてゆっくりとしているとダメだよ、というニュアンスで書かれているようにも見えます。
「空亡の時は、土に属す、勾(鈎)陳が事を主る。空亡の事は長くない、影人は乖き張ること少なく、財を求めても利息はない、行人には災殃があり、失せ物は土の裏に蔵れている、官事には損傷があり、病人は暗鬼に逢い、解願(顧あるいは禳)すれば安康を保つ」
『日本と道教文化』坂出祥伸 2010
勾陳という神様は知らなかったので、Wikipediaで調べてみたら、金色の蛇のことらしいです。やはり、空亡は、仏滅と同じくあまり運が良くない日のようです。
六曜はそれぞれ、五行に対応しているようですね。こうなると、6個ある六曜に5個しかない五行がどう対応しているのか俄然気になりますが、残念ながら今回引用した本には、六曜すべての解説をしていませんでした1。残念。
陰陽師といえば お・ふ・だ (;っ´°Д°`c)
陰陽五行説という名前からもわかる通り、陰陽師が道教由来なのはここまでの話からも予想がつくのではないかと思います。私は、陰陽師といえば、「急急如律令」と書いた御札をヒョイと投げて悪霊を退散する想像をしてしまうのですが、イメージわきますか??
実は、この陰陽師が使う御札も道教由来です[1], [2]。日本のものは白い紙に黒い墨で書かれている事が多いですが、中国のものは一般に黄色い紙に朱色で文字が書かれているものが伝統的であるようです[2]。キョンシーの頭に貼られている御札のイメージそのままですね[2]。

最近の漫画でいえば、『呪術廻戦』で宿儺の指をくるんでいる紙が御札です。あるいは、『ダンダダン』で神社の鳥居に貼ってあるのも御札です。
ただし、お札や護符というものは、どの宗教にもあるものなので、道教と陰陽師のようなはっきりした関係がない場合、宗教的な区別はつけにくいかもしれません。
御札というと、特級呪物的な雰囲気があって、怖いようにも感じますが、お守りのようなものとして、自分たちを守ってくれるはたらきもあります[1]。ここでは、私の直感にビビッときた素敵な御札をご紹介します[1]。
| 御札(霊符) | 効用 |
|---|---|
| 富貴符 | 金運をもたらし、災厄を防ぐ 「普通気をつけなければならないことは、その人に分不相応の金銭が もたらされると、それに付随して逆にいろいろな災いが生じやすいこ とだ。ところがこの霊符は、そうした災厄をも防ぐことができると言 われる」 宝くじで一山当てたときに使うといいかもしれないです。 |
| 交際円満符 | 人との交際をスムーズにし、人間関係を円満に保つ 「世の中でなにが大変かといって、人とうまくやっていくことほど 難しいことはない。仕事熱心でいくら頑張っても上役の受けが悪け れば出世もできず、せめて仲間と楽しくやっていこうと思っても、 Aの人とうまくいけばBの人とうまくいかずといったわけでなかなか に気を使うものだ。」 |
| 霊宝三部八景真玉符 | 人体に宿る24の神々が心身を変革する 「道教では、身体のあらゆる部分に神が宿るとされている。神仙の道 を行ずる人は、病気になると、その病気の部分を担当する神を呼び 出し、その力で病気の回復を図る。もっとも、神々のイメージを描 くだけで、病魔を退散させ、不死の仙胎を創造することは難しい。 そこで、この札の出番である。」 |
| 良縁符 | 末長く人生を共に歩める伴侶に巡り会える 「といっても、ハンサムな男性や絶世の美女をあなたの配偶者にする ことができるというわけでは必ずしもない。この霊符はその人の人生 にとってプラスになり、末長く一緒にやっていける伴侶をもたらして くれるものだ。」 |
| 鎮夫婦不和符 | 夫婦間の不和を鎮め円満を保つ 「この霊符は、夫婦の間がうまくいかないときに女性が用いる符で ある。」 つまり、男性側が使いたいときは、奥さんに 「この符を使ってください!! お願いします!!」 と頼み込みましょう。 |
| 鎮父子不和符 | 父と子の対立を防御する 「父親と子供があい争って家庭の中が目茶苦茶になりかねない場合 などに用いれば、妙験を得ることができるというものだ。この符を 黄色の紙に2枚朱書して、父と子がそれぞれ1枚ずつ常に携帯する ようにするのである。」 |
| 除口舌禍符 | 人を傷つける不用意な言動を鎮める 「この霊符は、家庭の中に不用意な言葉による事件が起きないよう にするものだ」 |
| 旅行安全符 | 旅中の災難から身を守る 「用い方は、白紙にこの霊符を墨書して旅行中身につけていると よい。強盗に出会ったり、飛行機が落ちたりという災難に巻き込 まれることがあったとしても、不思議な力が働いてその人だけは 致命的な被害を被ることは決してないという。」 |
| 五岳真行図 | 無病息災、寿命長久、子孫繁栄をもたらす万能の符 |
| 元覧人鳥山形図 | 一服で長寿、二服で神仙、三服で昇天する驚異の霊図 御札が喉に詰まって昇天しそう( °ཫ° ) 仙人以外試すのはやめましょう。 |
意外と御札の種類が多様で、込められる願いにも親近感がありますね!
試しに私も旅行安全符を筆ペンで書き写してみました!

この御札のどのあたりで安全を祈願しているのかを数十分考えたのですが、全然わかりませんでした。たぶん、上の四角を線でつないだ模様が安全で、下が旅行を表しているのではないかと感じとりました。( ー̀֊ー́ )✧
自分で御札を手書きすると、不思議なことに、これを持っていれば旅行が安全になる気がしてきました!!⎝。⌓°⎞いえーい
御札が欲しい時は、『道教の本 不老不死をめざす仙道呪術の世界』[1]を参考に書き写してください。他にも御札を収録した本はあるので、ぜひ探してみてください。
ちなみに、私があればいいなと妄想した御札は、「皿洗求即行動符」です。これは「皿洗いをお願いすると、お互いにすんなり皿洗いをしてくれる」御札です。
「あ〜、皿洗いしたくね〜」_( _ ´⚰︎` )_
「明日にする?」(꒪ꇴ꒪ )
「うん。そうしよう! 明日のわたしたちガンバレー」_( _ ´⚰︎` )_
という時に使いたいですね。
ところで。
御札といえば思い出すことがあります。ついでなので、昔話をさせてください。高校生のときに行った夏期講習の塾の英語の先生の話です。
その先生は、ホテルの部屋に入ったら、まず部屋に飾ってある絵の裏を探るのだそうです。そして、フロントに電話。
先生 「見つけましたよ!」
フロント「なんですか?」
先生 「見つけましたよ。お・ふ・だ」
お札を見つけると、ホテルの部屋のランクを上げてもらえるのだそうです。ちょっと疑わしいから確かめてもみたいけど、ホテルで御札を見つけるなんて、怖くてできません。むりだ〜。(((n;‘Д‘))η
まとめ
こうしてまとめてみると、チンプンカンプンだった道教が意外と身近なものに思えてきませんか? 日本とも関係が深い宗教だということがよくわかります。道教の寺廟に、少しは興味を持ってもらえるようになったのではないでしょうか。
えっ….と、なったのか….?(;≡д≡;i)
観光に行くときに、少しだけでいいので、興味を持ってもらえると嬉しいです。٩(ˊᗜˋ*)و
- おみくじ&おふだは概ね道教発祥
- おふだはやっぱり怖い
参考文献
- 『道教の本 不老不死をめざす仙道呪術の世界』Books Esoterica 1993 学習研究社
- 『日本と道教文化』 坂出祥伸著 2010 角川選書
- 『おみくじの歴史 神仏のお告げはなぜ詩歌なのか』平野多恵 2024 吉川弘文館



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