こんにちは。
日本でよく英語で話しかけられる、ズッキーです。
今回は台北にある道廟「指南宮」の神様についてです。
「指南宮で何を祈ればいいかわからない( ⌯᷄︎ὢ⌯᷅︎ )」
そんなあなたのお悩みに寄り添いたいと思って作りました(解決するとは言ってない(ૢ˃ꌂ˂⁎))。
私自身、指南宮に行ったときは、何を祈ればいいか全然わからなかったので、自分なりに勉強してみた内容になっています。
指南宮って?( `◔ω◔)

指南宮は、台湾の首都、台北市文山区にある道教の寺廟です。
台北指南宮公式HP[1]によると、1890年(清の時代、光緒十六年)に建設されたそうです。今の指南宮の麓のあたりにある、台北市文山区の景美という街で伝染病が流行った時に、呂洞賓という神様を祀ることで伝染病が収まったことから、指南宮が建てられました。「指南宮」という名前の由来「指南針」(羅針盤)のように人々を導けるように、という願いからつけられたということです。
指南宮は主に3つの建物に分かれています。それぞれ純陽寶殿、凌霄寶殿、大雄寶殿といいます。「寶」は「宝」という漢字の旧字体です。台湾では古い漢字が簡略化されずにきちんと残されているので、明治時代の文学を読んでいるような不思議な気分になりますね。

3つの建物それぞれに15人以上の神様(重複あり)がおり、合わせると学校の1クラス分くらいの人数はいることになります。神様の数がかなり多いように感じるかもしれませんが、道教では、一つの廟の中にたくさんの神様を祀ることは変わったことでもなんでもないようです[2], [3], [4]。それどころか、仏教や儒教の神様も一緒に祀ることもあり、この指南宮でも、仏様や孔子を神様として祀っています[2], [3], [4]。
道教廟は、日本ではあまり見ないような、独特の異国情緒があります。行ってみるだけでも、海外に来た、あるいは中華圏に来たという実感を得られると思います。また、廟には現地の人もお祈りに来ているので、台湾に息づいた生の信仰の形を見ることができます。
指南宮は台北市の中でも郊外の山の上に建てられているので、街の喧騒を離れ、気持ちをリフレッシュしたいときにも良いかもしれません。それでいて、台北の街中からも比較的近く、1時間もかからずいけるので、気楽に都会の台北のイメージとは違った側面を楽しめるのではないかと思います。
| 名称 | 指南宮(木柵指南宮) |
| 住所 | 〒116 台灣台北市文山區萬壽路115號 |
| 交通手段 | ロープウェーorバス(アクセス) |
おすすめポイント
道教の寺廟というと、豪華絢爛な異国風の建築を見てみたいとか、台湾の伝統的な宗教文化に触れてみたいとなんとなく思って立ち寄るのではないかと思います。しかし、それ自体は、おそらくガイドブックなどに載っている、どの寺廟でも味わえると思います。
その中で、指南宮のおすすめポイントは、その立地!
ガイドブックに載っているような、台北の他の道教廟は都会の中に建てられていますが、こちらの指南宮は山に囲まれた自然の中にあり、とても落ち着いた雰囲気です。私が行ったときは、平日(金曜日)だったのもあるかもしれませんが、人もポツポツいる程度で、とてものんびりとした気持ちで中を見ることができました。私は人混みが少し苦手なので、とても助かりました。まず、都会の喧騒から離れられるということがとても良かったです。
それでいて、アクセスも良好です。中心地からはそこまで離れているわけではなく、大体1時間くらいあれば、辿り着けます(詳しくはアクセスをご覧ください)。山の中にはありますが、ロープウェーで行けるので、登山の準備も必要ありません(もちろん、麓から参道を歩くこともできますし、麓からの参拝ルートには小さいながらとても趣深い雰囲気のある廟もあるようです)。

また、景色がとても良いです。山の上にあるので、廟からの景色が良いだけでなく、ロープウェーで来た場合は、ロープウェーからも台北の街を一望できます。台北101なども見れますよ!
写真はちょっと霞んでいますが……(´•̥ ω •̥` )
そして、何より私にとって重要だったのは、台湾茶の一つ木柵鉄観音の産地である「猫空」にとても近いことです。この猫空行きのロープウェーを途中で降りると指南宮に着きます。木柵鉄観音になぜ注目するかというと、台湾で鉄観音茶(ウーロン茶の一種)を作っているのは、この木柵地域だけなのです。それが台北市内にあると知って、そこに行かない理由があるでしょうか。いや、ありません! その途中にある指南宮に寄らない理由はあるのでしょうか。いや、ありません!
何を隠そう、私が指南宮に行ったのは、猫空に行くついででした。てへっ。(*ノ>ᴗ<)
まあ、行く理由はなんでもいいですよね!
- 中華風の豪華絢爛な建築を見ることができる!
- 台湾の伝統的な宗教文化に触れられる!
- 自然に囲まれた落ち着いた雰囲気の道教廟
- 台北中心地からのアクセスも良い〜
- 山からの景色がと〜てもヨイ
- あの木柵鉄観音の産地「猫空」と一緒に観光できる!
ちなみに、おすすめできないポイントは、他の有名道教廟と比べると、日本語の案内はほとんどないことです。そこで、今回は私が祀られている神様について軽くご紹介して、現地に行って一つでも楽しめるポイントを増やしてもらえたらと思っています。
よし、指南宮に行くぞ!! お〜〜〜〜!!c( c。ო。)
境内の地図
公式HP[1]には地図が2種類載っています。「ホーム画面>参訪引導>全覽地圖」で見れる地図(上)とホーム画面の下の方にスクロールした先にある地図(下)があります。上の地図は「北を上にした地図」で、下の地図は「山の山頂を上にした地図」です。


太陽を見て方位がわかる人なら上の地図でいいのですが、私のような地理感覚があまりない人間には、下の地図の方が直感的にわかりやすいです。上の地図だと、パッと見では、純陽寶殿の階段を降りた先に大雄寶殿があるようにも見えますが、実際は純陽寶殿の裏側(横側?)に大雄寶殿があります。

もしかしたら私たちと同じ勘違いをする方もいらっしゃるかもしれないので、載せておきます。注意してください。ちょっと難易度高めの地図でした。
主祀神について

指南宮の主祀神は、呂洞賓です。
呂洞賓は道教の神様の中でも特に人気のある仙人で、別名、純陽祖師、孚佑帝君、呂祖など様々な呼び名で親しまれています[1], [2], [3], [5]。この純陽祖師の純陽がメインの建物である純陽寶殿の名前の由来だと考えられます。ややこしいのは、指南宮の公式HP内でも呂洞賓氏の名前が統一されていないことです。呂祖と呼んでみたり、孚佑帝君と呼ばれたりで、少し素人にはわかりにくいですが、全部同じ神様です。
| 主祀神 | 別名 | ご利益 |
| 呂洞賓 | 孚佑帝君 呂祖 純陽祖師 妙道天尊 | 除災招福 健康長寿 無病息災 学業成就 |
台湾や中国には「八仙人」と言って、七福神の中国バージョンのような仙人集団がいます[2], [5], [6]。この八仙人に関する話として、「八仙人が、彭祖1という寿命20年の生い先短い兄ちゃんの優しい心に心打たれて、寿命を100年ずつ分ける」(つまり、寿命が800年伸びる)というエピソードがあります[5], [6]。この話もあってか、八仙人は除災招福や健康長寿の象徴とされています[5], [6]。そして、この八仙人の代表的存在が呂洞賓です。
呂洞賓は、民衆を導く神様として、除災招福や学業成就など、幅広いご利益があるとされています。指南宮の公式HP[1]には、「八仙人、三恩主2、五文昌3、全真派五陽祖師4の一人で、鍾呂内丹派5と道・仏・儒三教共尊思想の代表人物」という書いてあります。ざっくり言うと、いろいろな分野で信仰されている有難い神様だということです。呂洞賓は民衆のいる場所まで降りてきてくれて、民衆を導いてくれるとされていることから、とても人気の高い神仙です。ぜひ、ご挨拶しましょう。
各廟の特徴
指南宮の3つの建物(廟)についてサラッと説明します。
| 名前 | 特徴 |
|---|---|
| 純陽寶殿 (主祀神:呂洞賓) | 純陽寶殿は指南宮のメインの道廟で、孚佑帝君こと呂洞賓を主祭神としています。純陽寶殿では儒教の祖、孔子とそのお弟子さんも祀っています。また、正一教(天師道)メインの台湾で、全真教の五祖を祀る珍しい廟です。 (正一教も全真教も道教の一派です!) |
| 凌霄寶殿 (主祀神:玉皇上帝) | とにかく道教の偉い神様が多い廟です。玉皇上帝(民間信仰の最高位)に加えて、元始天尊(道教の最高位)や太上老君(老子)などが祀られています。ここでは三恩主の一人として呂洞賓が祀られています。凌霄寶殿は1階と2階に分かれていて、2階に玉皇上帝がいらっしゃるので、忘れないようにしてください!( ๑´•ω•)۶ |
| 大雄寶殿 (主祀神:釋迦牟尼佛) | 大雄寶殿は仏教をメインとした廟。何気に関羽がここにもいます。タイからもらったお釈迦さんもいるので、日本のお釈迦さまと見比べると楽しいかもしれません。 |
ところで、これで「りょうしょうほうでん(凌霄寶殿)」って読めますか?
私はムリでした。d(≧∪≦●)
お祈り内容/神様一覧表
ここに、お祈り内容ごとに神様一覧を一度作ったのですが、一度、間違ってデータを消してしまいました。もう一度作り直しでした。(৹˃ᗝ˂৹)
| お祈り内容 | 純陽寶殿 | 凌霄寶殿 (2階建て) | 大雄寶殿 |
|---|---|---|---|
| 除災招福 | 孚佑帝君 | 地官大帝(2F) 水官大帝(2F) 孚佑帝君(2F) | 普賢菩薩 |
| 健康長寿 無病息災 | 孚佑帝君 | 斗姥天尊(1F) 長生大帝(2F) 天官大帝(2F) 孚佑帝君(2F) | 藥師佛 |
| 学業成就 | 孚佑帝君 至聖先師孔子 魁斗星君 | 孚佑帝君(2F) 關聖帝君(2F) | 文殊菩薩 |
| 財福招来 | 通天財神(1F) 關聖帝君(2F) | ||
| 家内安全 | 司命帝君(2F) | ||
| 安産祈願 幼児保護 | 註生娘娘 | 王母娘娘(1F) | |
| なんでも?? | 観世音菩薩 |
一応、本を読みながら作った限りだと、概ねこの表のようになるかと思います[2], [3], [5], [6], [7]。護法神やご利益がはっきりとわからない神様は表に載せていません。お祈りしたい内容に合わせてお祈り先の神様を選んでください。
これに加えて、凌霄寶殿の1階の奥にある六十太歳が祀ってあるエリアで、自分の干支の太歳神に健康と平安をお祈りすると良いそうです。公式HPを確認した限り、日本にもある厄年に似た概念があり、厄払いをすることができます。
以下に、純陽寶殿、凌霄寶殿、大雄寶殿の順番に神様の配置を載せておきます。公式HP[1]をスクショしたものを加工したので、正式なものはそちらをご覧ください。
※正式なお祈りの内容やお祈りの仕方は、現地の道士や法師の方にご確認ください。この記事は道教における一般的な情報をまとめたものなので、道教廟ごとに内容が異なることがあります。
神様配置図(純陽寶殿じゅんようほうでん)

上で紹介した神様以外にも有名な神様がいます。地蔵王菩薩は、閻魔様など十王を束ねる存在なので、めちゃくちゃ偉い冥界の神様です[2]。城隍爺は、町の治安などを守る中間管理職的な神様で、左遷などもあります[2], [5], [6]。全真派五祖は道教二大宗派の一つ、全真教で最も信仰されている5人の神様です[8]。
神様配置図(凌霄寶殿りょうしょうほうでん)

北京の白雲観やなど、全真教や正一教などの道教の二大宗派の施設は、最も偉い元始天尊を最奥に配置するので、それを手前の一階に配置しているのは、興味深いです[2]。玉皇上帝は民間(特に台湾や東南アジア)では最高神とされていますので、それが表れている形だと思います[2], [5]。わかりやすくいうと、この元始天尊は、道教の神様の中では、日本でいう「上皇さま」のような立ち位置だと考えられているようです。「天皇」にあたるのが、玉皇上帝ですね。
上で紹介していない神様として、靈寶天尊は2番目くらいに偉い神様です[2]。道徳天尊は老子のことです[2], [5], [8]。この二人と元始天尊を合わせて、「三清」と呼びます[2], [5], [8]。東華帝君は呂洞賓の師匠である鍾離権のさらに師匠です[5], [6]。王母娘娘とセットになることが多く、仙人の中ではトップクラスに偉い人です[6]。

天皇上帝は天皇の名前の由来になったとかなんとか言われる神様です。あくまで一説です。雷聲普化天尊は雷の神様です。中国人は農耕民族なので、その生活は天気の影響をモロに受けてしまいます。天気系の神様が非常に強い信仰の対象となりました。そのため、この雷の神様はかなり位が高い神様とされています。
神様配置図(大雄寶殿だいゆうほうでん)

仏教メインの建物であることがよくわかりますね。長いので、釋迦と書きましたが、釋迦牟尼佛と表記されています。お釈迦さまのことです。泰國佛尊の泰國はタイ王国🇹🇭のことで、泰國佛尊はタイから送られた仏像のことです。
質問①:指南宮って泊まれるんですか??
憧れのあの指南宮(?)に泊まりたいあなたに朗報です。泊まれます!
でも、値段はさっぱりわかりません!
公式HPの説明をまとめてみました[1]。
指南宮「祈夢房」
- 由来:指南宮が建てられてから、呂洞賓は、さまざまな形で人々を救済してきたそうです。その中でも有名な話があります。金鉱で採掘していた鉱工が長い間、鉱脈を発見できず、借金をするほど生活に苦しんでいました。そこで指南宮の祈夢房を訪れ、祈願したところ、七つの灯籠の夢をみました。そして、解夢師の説明の通りに探したところ、鉱工は金鉱石を発見し、借金を返済することができたそうです。ちなみに指南宮にある、七星池はその人の寄付によって建てられたものだそうです。
- 部屋:
- 計58床(男女別)
- 各部屋には1人から3人まで宿泊可
- 一部の部屋からは美しい景色を眺めることができる
この部屋で、宿泊者は心身をリラックスさせ、夢の中で導きを受けることができるそうです。
予約について
公式HP(祈夢房)に宿泊専用の電話番号が載っているので、そこに電話して予約しないといけないみたいです。公式HPのホーム画面から、「ホーム画面>服務項目(右上)>祈夢房」でもサイトにアクセスできます。
(日本から国際電話で電話する際は、最初の0を消して、+886をつけて電話してください!)
質問②:仏教・儒教・道教が一緒に祀られているって本当??
本当です。それだけを聞くと、不思議なようにも感じますね。
ですが、不思議なことでもなんでもないようです。
日本に置き換えて考えてみてください。日本では、神仏習合といって、初詣で神社に行ったその日に、お寺にお参りすることがあります。また、神棚がある家に仏壇が置いてあっても疑問に思ったりしません。他にも、「七福神」が色々な国の神様が組み合わさって生まれたものだと聞いても「ふ〜ん、そうなんだ〜」と思うだけで、「なんだと!? けしからん!!」とはなる方はほとんどいないでしょう。
台湾でも、同様です。
多くの人にとって、その神様がどの宗教に所属しているかは一番大事なことではないのです。
台湾の寺廟を訪れてみれば、様々な宗教的起源をもつ存在が、同一の祭壇の上に祀られており、人々はそれらに対して熱心に帰依している。
ー引用元[4] 参照
このことから、台湾では元々は異なる宗教の神様が同じ廟の中に祀られていることが珍しくないことがわかります。
また、民間信仰について、少し古い本ですが、引用してみます。
家宅の正庁(筆者註:家の広間)に奉祀される掛軸は、ふつう上段が観音、中断が関聖帝君と天上聖母、下段が司命竈君(竈神:家の神様)と福徳正神という図柄になっている
ー引用元[3]参照
ここでは、仏教の観音さまと道教の神々が同じ掛け軸の中に描かれている様子が書かれています。窪(1986)[5]には挿絵付きで同様の内容が記されています。つまり、民間レベルでは、仏教と道教が区別なく信仰されていると受け取れます。
では、儒教はどうなのかというと、道教の2大宗派の一つである全真教の本山、北京の白雲観でも、学問の神、文昌帝君と並んで、孔子を祀っています[2]。また、全真教の創始者である「王重陽は『道徳経』『清静経』『般若心経』『孝経』を読むことを弟子に勧めた」(それぞれ道、道、仏、儒の経典)と言われています[8]。このことから、道・仏・儒の三教は中国や台湾では、区別なく信仰されてきたことがわかります。台湾や中国でも、神様がどの宗教に由来するかということよりも、神様がどういう神様で、どういうご利益があるのかを大事にして信仰しているのではないかと思います[4]。
アクセス
指南宮へは、ロープウェイとバスの2つのアクセス方法があります。特におすすめは、絶景を楽しめるロープウェイです。MRT動物園駅からロープウェイに乗り換え、約25分で指南宮駅に到着します(ただし、並ぶので時間に余裕は持って計画してください)。ガイドブック[7]でも、「空中散歩」といって取り上げているので、情報も得やすいかと思います。景色もとても良いので、おすすめです。
- ロープウェー:指南宮はMRTの文湖線(BR)という茶色い路線に乗って、その終点の動物園駅(現地では「站」←「駅」に当たる漢字)に行きます。そこからロープウェーに乗りかえて、指南宮駅まで乗ります(路線図右下、淡緑色の路線)。
指南宮はこの路線図の右下にあります。
台北観光サイトより(台北市政府観光伝播局)
- バス:「530番」 or 「棕5(BR5)」のバスに乗ってください。参道から道廟まで歩いて行けます。道中を楽しみたい方には良いかもしれません。
- 530番:MRTの松山新店線「公館」駅や文湖線「万芳病院(萬芳醫院)」駅から乗車可能。
- 棕5(BR5):文湖線「万芳コミュニティ(萬芳社區)」駅から乗車可能。
まとめ
指南宮は、台湾の神様パワーを体感できる、魅力的なパワースポットです。台北旅行の際は、ぜひ指南宮を訪れて、素敵な思い出を作ってください。
- 指南宮は呂洞賓(純陽祖師、呂祖、孚佑帝君)を主祭神とした道教の寺廟です。
- 指南宮は、「純陽寶殿」「凌霄寶殿」「大雄寶殿」の3つの廟に分かれています。
- 身近に感じた神様や、自分の悩みやお願いに合わせた神様にお祈りしましょう!
おすすめのブログ
指南宮のことを紹介しているブログで個人的に役に立ったページをご紹介します。
- 台北ナビ(https://www.taipeinavi.com/miru/142/)
トップに出てくるので紹介する必要もないかも知れません。お参りの仕方が出ている上、写真がたくさんあって、とても良いです。 - 道教廟の世界(https://miao.xuan-tong.com/2017/01/27/指南宮/)
とてもマニアックなので、一度目に読んだときは何を書いているのかわからないところがありました。何度か読むと面白いです。特に、自分の太歳神を見つけたときのくだりがクスッとしてしまいます。 - 台湾さんぽ(https://www.taiwansanpo.com/指南宮/)
お参りの仕方などで他とは違うことが書いてあるので、とても良いです。 - hapioa(https://hapioa.com/chih-nan-temple/#google_vignette)
指南宮の郭師兄さんという方がすごいらしい、ということがわかる記事です。とてもお廟を楽しんでいる様子が伝わります。
コラム:「指南宮は台湾道教の総本山???」という疑問
台北ナビ[9]では、指南宮が「台湾道教の総本山」と書かれています。
では、指南宮で祀る呂洞賓は、台湾道教の主神的存在かと言われると、疑問が残ります。というのも、台湾で主要な道教の宗派は正一教です[3], [4], [8]。呂洞賓は全真教では五祖と呼ばれる主要な神様の一人ですが[8]、正一教では中心的な神様かというと判断の難しいところです。これは、『道教廟の世界』というブログ[10]でも疑問を抱いている事柄です。
では、なぜ指南宮が台湾道教の総本山と書かれているのでしょうか?
理由はわかりません。公式ページにはそのようには書かれていませんが、私が見落としているだけかもしれず、実際には総本山とされているのかもしれません。私が探した限りでは、唯一、Books Esoterica(1993)[6]には、「台湾道教の総本山」とだけ書かれていますが、根拠がいまいちわかりません。他の専門書には、木柵指南宮という名前は見られるもの[3], [5]の、「総本山」に関する説明はありません。
関係のありそうな出来事と言えば、中国の正一教の総本山、龍虎山天師府六十三代天師張恩溥(正一教で一番偉い道士)が1949年に大陸から台湾へ逃れてきたことでしょうか[8]。
坂出(2017)[8]によると、1968年に中華民国道教会が設立された際に、この天師が理事長に選出されたそうです。この道教会が1989年に台北市臥龍街に道教会館を建て、台北市木柵区指南宮の中に中華道教学院を創設したとあります。
つまり、こういうことです。
「中華道教学院を設立(在 指南宮)」
↑
「中華民国道教会」
↑
「正一教の天師がトップ」
↑
「正一教は道教の二大宗派」
道教教育の一大拠点といっても良さそうなくらいの権威は感じます。総本山かと言われるとやっぱりよくわかりませんが、もしかしたら、このあたりと関係しているのかもしれません。
参考文献
- 指南宮公式HP(https://www.chih-nan-temple.org)2025.4.7アクセス
- 『道教の神々と祭り』野口鐵郎・田中文雄編 2004 あじあブックス 大修館書店
- 『台湾の道教と民間信仰』劉枝萬1994 風響社
- 『現代台湾宗教の諸相 台湾漢族に関する文化人類学的研究』五十嵐真子著 2006 人文書院
- 『道教の神々』窪徳忠著 1986 平河出版社
- 『道教の本 不老不死をめざす仙道呪術の世界』Books Esoterica 1993 学習研究社
- 『るるぶ台湾’24』 福本由美香編 2023 JTBパブリッシング
- 『道教とはなにか』坂出祥伸2017 ちくま学芸文庫
- 台北ナビ(https://www.taipeinavi.com/miru/142/)2025.4.7アクセス
- ブログ『道教廟の世界』(https://miao.xuan-tong.com/2017/01/27/指南宮/)2025.4.7アクセス
- 『台湾の宗教と中国文化』酒井忠夫編 1992 風響社
- 『文昌帝君信仰と書院―台湾における文昌帝君廟を例に―』二階堂善弘 2011 東アジア文化交渉研究 第4号
- 『日本と道教文化』 坂出祥伸著 2010 角川選書
その他参考にした文献
- 『元代全真教研究―教理形成と教勢の拡⼤―』日比野晋也 2023 関⻄⼤学審査学位論⽂
- 『道教・民間信仰における元帥神の変容』二階堂善弘 2006 関西大学東西学術研究所研究叢刊27
- 『『封神演義』の元帥神』二階堂善弘 2023 東アジア文化交渉研究 第16号
- 『中国の吉祥文化と道教 祝祭から知る中国民衆の心』奈良行博 2011 明石書店
脚注
- 彭祖[5], [6]
彭祖は房中術が得意な仙人として知られます。 ↩︎ - 恩主公信仰[4], [10], [11]
シャーマニズムの一つである、扶鸞から派生した信仰の一つ。扶鸞は中華コックリさんのことで、筆に神様が憑依して、文字を書き、神意を伝える方法。その際に憑依する神様が恩主公である。三恩主、四恩主、五恩主のパターンがあります。三恩主は関聖帝君、孚佑帝君、司命帝君、四恩主はこれに玄天上帝が加わり、五恩主は文昌帝君、豁落靈官(王霊官、王天君)、地蔵王菩薩、保全大帝、岳武穆(岳飛)などのうちに一人が加わります。この恩主公信仰の発展過程で、儒宗信仰と言って、儒教的道徳を大事にしたことが、日本統治下の台湾人に刺さり、広まったようです。この指南宮のHPの記述からも、道徳を大事にしていることが読み取れ、儒宗信仰の影響が感じられます。 ↩︎ - 五文昌[5], [13]
学問の神様五人衆。文昌帝君・魁星・朱衣神・呂洞賓・関聖帝君の5人のこと。道教神ではあるが、儒教的色彩が強いとされています。私のような素人にはその違いがよくわかりません。 ↩︎ - 全真派五陽祖師[8]
道教の二大宗派の一つ、全真教は、1159年に王重陽が呂洞賓(鍾離権とも言われる)に出会ったことから設立されました。王重陽の高弟である馬鈺(丹陽)、譚處端(長真)、劉處玄(長生)、丘處機(長春)、王處一(玉陽)、郝大通(広寧)、孫不二(清静)の七人を七真人といい、王玄甫(東華帝君)、鍾離權、呂洞賓、劉海蟾、王重陽の五人の宗祖を合わせて、五祖七真といい、全真教では深く信仰されています。 ↩︎ - 鍾呂内丹派
中国では、西欧の錬金術にあたるものとして、練丹術というものがありました[6], [8]。これは、金丹という不老不死の妙薬を作り出す研究のようなもので、火薬の発明や薬物学、顔料・塗料の発展に寄与しました[8]。しかし、一方で、丹薬を飲んで、死に至った皇帝や貴族も多くいたそうです[6], [8]。
そこで、外丹(薬)という外的な力ではなく、内丹(心と体)を鍛えて自分を高めようとする考えが生まれていったと考えられています[8], [13]。6世紀ごろには、内丹の記述が見られます。この内丹が王重陽によって、全真教に取り入れらました[8]。鍾呂内丹派はおそらく、鍾離権と呂洞賓の頭文字をとったもので、指南宮では内丹を鍛える考え方を取り入れていることがわかります。 ↩︎




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