オーロラは冬じゃなくて春と秋が見やすい?その秘密を詳しく解説!

オーロラが春と秋に見えやすい理由_表紙 オーロラ

 こんにちは。ズッキーです。

 オーロラというと、何となく雪の降り積もった冬に見られるイメージがありませんか?

 私もフィンランドに行く前は、冬のイメージを持っていました。

 でも、Visit Finlandというフィンランドの観光サイトを見ていると、オーロラは春と秋に一番活発だという話が書かれています。実際、私がフィンランドのOuluオウルに留学していた時も、春と秋にオーロラが見やすいように感じました。

 でも、ふと思いました。

「それって何で?」

 理由はさっぱり思いつきません。そこで少し調べてみると、どうやら地球と太陽の位置関係が深く関わっているようだとわかりました。そこで、今回は春と秋にオーロラが見やすい理由について、調べたことを解説していきます。

 

そもそも春と秋にオーロラが多いって本当?

 私がフィンランドに1年滞在した印象では、春と秋にオーロラが多いというのは本当です。でも、「オーロラって春と秋に見やすいらしいよ!」と人から言われると、先入観でそんな気がしてくることがあります。

 私の気のせいだったら、申し訳ないので、データで見てみることにします。

 幸いなことに、Nanjo et al. 2022は、ノルウェーのTronsøトロムソのデータを使って、このことを統計的に示してくれています。

月別のオーロラ発生確率。9月はデータがない年もあり。Nanjo et al. 2022より引用。Figure4の各月の出現確率の%データ(各月のオーロラ写真/各月の全写真)を積み上げ式グラフで表示したもの。

 これを見ると、Tronsøでは、確かにオーロラは10月と2月に最も多くなることがわかります。また、BBC Weatherでは、10月と3月に最もオーロラがよく見られると書いてあるので、多少の時期のずれはあるかもしれないですが、春と秋にオーロラの活動が活発になるのは、間違いないようです。

 では、オーロラがこの季節に活発になる理由はなんなのでしょうか? 逆になぜ他の季節にはあまり見られないのでしょうか?

 

春と秋にオーロラがよく見られる理由

 実は、オーロラ自体は1年中発生していると言われています。

 でも、先ほどお見せしたデータでは、4〜8月のオーロラの発生割合は書かれていませんでしたよね。

 その理由は簡単です。日本にいると、想像しにくいかもしれませんが、北極圏では夏の期間は、白夜で日が沈まず、夜も明るいので、オーロラが見れません。このため、フィンランドでのオーロラのシーズンは9月〜4月初頭までと言われています。

 それでは、なぜその中でも春と秋にオーロラが見やすいのでしょうか?

 理由は主に3つあります。

オーロラの活動が春と秋に活発な理由
  • 観測条件が揃いやすい
  • ラッセル・マクフェロン効果による説明
  • 回帰効果の影響による説明

 それをこれから説明していきましょう。

 

観測条件が揃いやすい

 春と秋にオーロラが見やすい理由の一つは、観測に適した自然条件が揃うからです。

  • 春分・秋分は昼と夜が同じくらいの長さなので、オーロラが十分に観察できる
    (きちんと夜がある)
  • 冬は夜が長くても天候不順で、なかなかオーロラが見れないことがある

(ここからが、もう少し専門的な話になります。)

 

ラッセル・マクフェロン効果(Russell-McPherron Effect)

 ラッセル・マクフェロン効果(Russell-McPherron Effect)は、春分と秋分にオーロラが活発化する理由として、最も当てはまりが良いとされる理論です。

 この効果をきちんと説明するには、ちょっとだけ物理的な話をしなければいけません。私も物理は苦手ですが、本当にかろうじて理解できたので、できるだけ噛み砕いて説明します。

 順番に説明しないとわけがわからなくなるので、3つの段階に分けて説明します。

  1. オーロラの発生源:太陽風
  2. 太陽風の磁場のでき方:パーカー螺旋
  3. ラッセル・マクフェロン効果

 

①オーロラの発生源:太陽風

 オーロラはなぜ光っているのでしょう。

 それは、地球の大気の原子や分子がプラズマ粒子という電気を帯びた粒子とぶつかって、エネルギーをもらうからです。では、このプラズマ粒子がどこから来たのかというと、太陽です。

 太陽からは常にプラズマ粒子が噴き出していて、これが地球まで流れて、オーロラが発生する原因となっています。このプラズマ粒子の流れのことを太陽風と呼びます。

 つまり、オーロラが光る原因は、この太陽風です。

 ところが、太陽風は地球に直接ぶつかりません。

 それは、地球は磁気を帯びていて、北向きに磁場がはたらいているからです。地球は太陽風に対して磁場のバリアを張った状態になっているのです。ところが、太陽風自体も磁場を持っていて、これが南向きを向いているときは、地球の磁場を打ち消して、地球の大気圏に侵入することができます。

 これがオーロラ発生の要因の一つになっています。詳しくは太陽風とオーロラ発生に関して説明した記事をご覧ください。

ポイント
  • オーロラの大元の原因は太陽風
  • 太陽風が南向きの磁場を持っているときにオーロラが発生しやすい

 

②太陽風の磁場のでき方:パーカー螺旋

 太陽風は、太陽から真っ直ぐに常に吹き出し続けています。

 ところが、太陽は27日周期で自転をしています。太陽風は、コロナホールと呼ばれるところから、常に吹き出し続けているので、同じコロナホールから出た太陽風は自転によって、螺旋軌道を描いたような形になります。

『太陽風 らせん状(スパイラル)磁場のできかた』東北工業大学情報通信工学科中川研究室HPをもとに作成。

 同じコロナホールから出た太陽風は磁気によって繋がった状態になるので、太陽風は真っ直ぐに進んでいますが、磁場は螺旋形に働きます。

 これをパーカー螺旋(Parker’s spiral)と言います。

ポイント
  • パーカー螺旋‥太陽風の磁場が螺旋状になる現象のこと

 

ラッセル・マクフェロン効果

 まずは地球の公転を考えてみましょう。

 地球は反時計回りに1年かけて太陽の周りを回っています。地球の地軸は公転面に対して、約23.4度傾いています。このため、太陽から放たれるエネルギーの量が季節的に変化します。

 日照時間で考えた場合、地球上で日が最も長くなる日を夏至、最も短くなる日を冬至、日の長さと夜の長さが同じになる日を春分・秋分というように分けられます。

 

 では、太陽風からの磁場はどう変化するでしょうか?

 太陽風から受ける磁場の方向はほぼ一定と考えられていて、パーカー螺旋で弓形に働きます。具体的には、太陽風の磁場はねじれて地球の公転軌道の接線方向(斜め方向)にかかります。

 これがまず、前提条件です。

 ここからは、頭の中だけで考えるとこんがらがって、難しくなるので、地球上にXYZの三軸を設定します。

 地球から太陽へ向かう方向をX軸、地球の公転面(黄道面)に垂直な方向をZ軸、その両方に垂直な方向をY軸とします。太陽風の磁場は、パーカー螺旋効果によって、XY平面の、特にY軸側に強く働きます。

 地球の地軸は傾いたまま公転するため、その向きは季節によって変化します。

  • 春分・秋分
    ‥地軸がYZ平面上にあるため、地軸の傾きが太陽風の磁場が働く面(特にY軸寄り)と平行に近くなります。この特別な配置によって、太陽風の磁場が持つ力が地球の南北方向に最も強く分解・合成されるため、地磁気活動が活発になります(オーロラが発生しやすくなります)。
  • 冬至・夏至
    ‥地軸がXZ平面上にあるため、太陽風の磁場が働く面(Y軸寄り)と直角に近くなります。この状態では、太陽風の磁場は南北方向にほとんど力が働かず、地磁気活動は穏やかになります。

 これをラッセル・マクフェロン効果といいます。

 ちょっと難しいですね!

ポイント
  • ラッセル・マクフェロン効果
    ‥春分と秋分は、地球の地軸の傾きと太陽風の磁場がかみ合うことで、オーロラ発生に必要な南向きの磁場が最も効率的に地球に届くため、地磁気活動が活発になるという理論。

 

回帰効果(Equinoctial Effect)

 回帰効果(Equinoctial Effect)もまた、春と秋にオーロラが活発になる理由の一つだと考えられています。こちらはもう少し簡単です。

 回帰効果は、太陽風を地軸に対して垂直方向に受けた方が、効率よくプラズマ粒子を受け取れるとする考えです。

 イメージとして、鳥の翼や船の帆を思い浮かべてください。風に対して船の帆を垂直に受けたときと、斜めに受けたときでは、どちらがエネルギーを多く受け取れるでしょうか。

 垂直に受けたときの方が風の力を多く受けられるはずです。同じように、地軸を帆柱マストに見立てて、地球と地球の磁場を帆とした場合、地軸が太陽風に対して斜めに向いている夏至や冬至より、垂直に向いた春分と秋分の方が、太陽風からのエネルギーを最も効率的に受け止めることができるため、オーロラが発生しやすいと考えられています。

 これが、この回帰効果の考え方です。

ポイント
  • 回帰効果
    ‥春分と秋分の時期には、太陽風を地磁気に対して垂直に受けるため、太陽風からプラズマ粒子が効率的に地球に流れ込むこと。

 

理論関係まとめ

 実際には、ラッセル・マクフェロン効果と回帰効果の両方がオーロラの見やすさに影響していると言われています。ラッセル・マクフェロン効果は1973年に提唱された理論で、最近になっても証拠が次々と見つかっています。これらの効果は、まだ仮説に過ぎないので、まだ、秋と春にオーロラが見やすい理由について、全貌を明らかにするには時間がかかりそうです。

 

季節の比較:秋 vs 春の特徴

Geminiに生成してもらった画像を編集したもの。湖面にオーロラが反射する秋のフィンランドの絵。

秋(9〜10月、秋分の日:9月23日(2025))

  • 比較的寒くないので、長い間観察できる
  • 比較的寒くないので、服装も荷物も身軽にできる
  • 雪がないので、湖面に反射したオーロラを撮影できる可能性がある
  • 雪が少ないので、移動しやすい

 

春(2〜3月、春分の日:3月20日(2025))

  • 湖の上の広い場所からオーロラを見れる
  • 雪景色とオーロラの組み合わせを撮影できる
  • 犬ぞりやスノーモービルなど他のウィンターアクティビティもセットで楽しめる

 

 春か秋のどちらがいいかは好みだと思います。出来れば、両方とも味わいたいですね!

 私は雪が好きなので、冬の方が好きです。でも、湖面に映ったオーロラも捨てがたいですね!

 難しいなあ〜。

 

 ちなみに、月毎のオーロラの観測条件については、次の記事で詳しくご紹介します。

 

まとめ

 オーロラが冬ではなく、春と秋に活発になるのは、地球と太陽の位置関係と複雑な太陽風の磁場の仕組みが原因と考えられていることがわかりました。

(仮説)春と秋にオーロラが見やすい理由
  • ラッセル・マクフェロン効果
    ‥地軸の傾きと太陽風の磁場がかみ合うことで、オーロラ発生に必要な南向きの磁場が効率的に生まれるため。
  • 回帰効果
    ‥地軸と太陽風が直角になる春分・秋分には、より効率的にエネルギーを受け取れるため。

 これらの理由から、春や秋のフィンランドはオーロラ観測にはもってこいの季節だと思います。特に秋は比較的暖かく、雪がないため湖面に映る「逆さまのオーロラ」も狙えます。

 映えです、映えᐠ( ᐛ )ᐟᐠ( ᐛ )ᐟ

 オーロラというと冬のイメージもあるかもしれませんが、次にオーロラを見に行く計画を立てるときは、春と秋も選択肢に入れてみてはいかがでしょうか?

 

もっと詳しく知りたい方へ:オーロラ関連リンク集

  

 

参考文献

 論文に関しては、専門的すぎて、表面的なことしか理解できませんでした。聞かれても答えられないことの方が多いです。

  • Nanjo, S., Nozawa, S., Yamamoto, M., Kawabata, T., Johnsen, M. G., Tsuda, T. T., & Hosokawa, K. (2022). An automated auroral detection system using deep learning: real-time operation in Tromsø, Norway. Scientific Reports12(1), 8038.
  • 『太陽風 らせん状(スパイラル)磁場のできかた』東北工業大学情報通信工学科中川研究室HP(https://ice-tohtech.jp/nakagawa/outreach/spiralfield_0.htm)2025.8.15アクセス
  • Russell, C. A., & McPherron, R. (1973). Semiannual variation of geomagnetic activity. Journal of geophysical research78(1), 92-108.
  • Cliver, E. W., Kamide, Y., Ling, A. G., & Yokoyama, N. (2001). Semiannual variation of the geomagnetic Dst index: Evidence for a dominant nonstorm component. Journal of Geophysical Research: Space Physics106(A10), 21297-21304.
  • Lockwood, M., Owens, M. J., Barnard, L. A., Haines, C., Scott, C. J., McWilliams, K. A., & Coxon, J. C. (2020). Semi-annual, annual and Universal Time variations in the magnetosphere and in geomagnetic activity: 1. Geomagnetic data. Journal of Space Weather and Space Climate10, 23.
  • Zhao, H., & Zong, Q. G. (2012). Seasonal and diurnal variation of geomagnetic activity: Russell‐McPherron effect during different IMF polarity and/or extreme solar wind conditions. Journal of Geophysical Research: Space Physics117(A11).
  • 『オーロラ・ウォッチング オーロラに会いにいこう』上出洋介著 2005 誠文堂新光社

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