こんにちは。
フィンランド好きのズッキー( *˙ω˙*)وです。
今回は台湾茶についてご紹介したいと思います。
妻は最初に台湾に行って飲んで以来、台湾茶が大好きで、釣られて私も飲むようになりました。とはいえ、知らないことも多いので、自分なりに少し勉強したものをまとめてみました。
▶︎台北の猫空の茶館(邀月茶坊)でお茶を飲む話(旅の記録)
▶︎台北の猫空で台湾茶を買った話(旅の記録)
▶︎鶯歌で台湾高山茶を買った話(旅の記録)
台湾茶ってなに?
読んで字の如く、台湾茶とは、「台湾のお茶」です。
うん。これだけだとわかりませんね。わかりやすくするために、少し日本のお茶と比較してみましょう。
日本のお茶といえば、ほとんどの人は煎茶、抹茶、ほうじ茶などの緑茶を一番最初に思い浮かべると思います。もしかしたら、麦茶や紅茶をイメージする人もいるかもしれません。あるいは、飲み会でのソフトドリンク代表のひとつ、烏龍茶でしょうか。
これらのお茶と呼ばれている飲み物の中には、お茶(チャノキ Camellia sinensis )を原料としたお茶とお茶(チャノキ)を原料としていないお茶があります[1]。

例えば、緑茶、烏龍茶、紅茶などは、お茶(チャノキ)原料のお茶です。一方、麦茶や梅昆布茶などは、お茶(チャノキ)を原料としていません(茶外茶と呼ばれます)[1], [2]。
この記事では、チャノキを原料としたお茶のみを扱うことにします。
ここからは、お茶の中のお茶(ꉂꉂ(˃▿˂๑))の話です。

日本で生産されるお茶には、煎茶、抹茶、ほうじ茶、玉露、番茶などがありますが、これらは緑茶に分類されます[2]。最近では烏龍茶や紅茶が日本でも生産されていますが、日本で一番作られているのは緑茶です[2]。
このことを頭の片隅に置いて、台湾茶の話に戻りましょう。

一方、台湾茶を見てみましょう。
台湾の茶産業における烏龍茶の生産割合は、烏龍茶栽培へと転換が進んだ1986年時点で7割近くあり1、それ以降も台湾では主要なお茶となっています(最新の資料が見つけられませんでした(˃̣̣̥⌓˂̣̣̥))[4]。
台湾には、烏龍茶の他にも紅茶、緑茶、白茶があります[3]。が、この記事では烏龍茶のみに着目して話を進めていきます。烏龍茶の細かい内容については、のちのち見ていくとして、皆さんが一番気になるのは、味だと思います。
台湾の烏龍茶の味を、私なりにわかりやすく表現するなら、「緑茶と烏龍茶を合わせたような味」で、どちらかというと緑茶寄りだと思います。緑茶ほどの渋みはなくて、ペットボトルのあの茶色い烏龍茶ほどの濃さ(味の強さ?)もないです。台湾の烏龍茶は香りも豊かで柔らかくて、味の種類も豊富です。甘味もあります。正直、私は日本のペットボトルの烏龍茶は少し苦手なのですが、台湾の烏龍茶はめちゃくちゃ美味しいと思います。ズッキー風表現を使うと、台湾茶は「とてもセクシー(・ωー)~☆な味」がすると思います。烏龍茶は少し…という人も一度は試してみる価値はあるのではないかと思います。
ここで、ふと疑問が浮かびませんか?
「そういえば、烏龍茶ってなんだっけ??」
と。
- 台湾茶の主役はチャノキを原料とした烏龍茶。
- 台湾の烏龍茶は烏龍茶なのに緑茶に近い味です。普通の烏龍茶が苦手な人も試す価値はあるかも!?
烏龍茶ってなに?
ここからは烏龍茶について、説明します。ここでは、中国茶の定義(あるいはISO国際基準の定義)にしたがうものとします[5], [6]2。
中国では、お茶を緑茶、黄茶、黒茶、白茶、青茶(烏龍茶)、紅茶の6種類(+1種で花茶というのもあります。ジャスミン茶などがこれに含まれます)に分類しています[2], [5], [6]。日本に住んでいると、お茶の種類が多くて不思議な感じがします。お茶はもともと中国発祥(諸説ありますが、中国雲南省説が有力[1], [6], [7])なので、発展していく過程で中国茶の種類は多くなったんだと思います。これら6種のお茶は製造方法によって分類され、それぞれ異なる特徴を持ちます[5], [6]。

イジワルな言い方をすると、烏龍茶とは、烏龍茶(青茶)の製法で作られたお茶のことです。正確には、以下のような工程で作られたお茶のことです(上の図では私が自分で見直すときに理解しやすいように、工程の内容を簡略的に表現しています)[2], [5], [6]。
- 摘採(生葉を摘む)
- 萎凋(日光に当てて萎れさせ、酵素による発酵を促す)
- 做青(攪拌と静置して酵素による発酵を進ませる)
- 殺青(加熱して酵素の活性をなくし、発酵を止める)
- 揉捻(揉んで細胞を壊す&形を整える)
- 乾燥(乾燥して保存性を高める)
正直、私も最初見たときは、「なにやらわからん」と思いました。製造方法だけ文字で見ても、少し難しいですよね(でも、かなり手間をかけて作られていることはわかります。丁寧に作られるから美味しくなるんですね)。
工程の実際の写真ではないですが、道具や機械は下の写真のようなものを使います。これは、私が台湾の茶産地の一つ、猫空に行ったときに撮った写真です。


しかし、このように製造方法を示しただけだと理解が難しいため、多くの日本の書籍では、製造方法によって発酵度に違いが出る3ことに着目して、分類を行っています。以下の表を参考に載せてみました[5]。

この表は、それぞれのお茶の種類ごとに、発酵度と、どのような香りがするかを示しています。
青茶(=烏龍茶)の項目を見てください。
表に書かれている通り、烏龍茶は、半発酵茶と呼ばれることがあります[2], [6]。烏龍茶では、②と③の工程で適度に酵素発酵が起きた結果、完全発酵でも無発酵でもないその中間くらいの発酵をします。ただし、烏龍茶の中には、台湾の烏龍茶のように発酵度が軽いものや武夷岩茶のように重いものも含むので、部分発酵茶と呼ばれることもあります[3]。
香りについては、花、草、果物など、烏龍茶は他のお茶に比べて香りの種類が多い印象を受けます4。香りの種類が豊富なのは、この発酵度の多様さによるのかもしれませんね。
ここからは、具体的に、台湾の烏龍茶について見ていきます。
- 烏龍茶は中国茶の一種。6つの工程で製造される、手間をかけて作られたお茶。
- 烏龍茶は半発酵茶(部分発酵茶)で香りのバリエーションが豊富。
台湾烏龍茶はオンリーワン!?
台湾の烏龍茶は、中国から導入されてから、ヨーロッパや日本の影響も受けながら独自の進化を遂げてきました[3], [8]。この項では、台湾の烏龍茶が世界でも特別なお茶であるということに焦点を絞って、その特徴を説明していきます。
台湾の烏龍茶の多くは包種茶と呼ばれる、台湾独自の烏龍茶に分類されます[3], [8]。先ほどのお茶の話ではないですが、烏龍茶の中の烏龍茶と烏龍茶の中の包種茶に分かれるイメージでしょうか。台湾では、重発酵の東方美人(白毫烏龍茶)のみがここでいう烏龍茶側に分類されます[3]。本当はもう少し詳細な説明がある5のですが、読者の皆さん以前に私の頭がこんがらがってきてしまうので、ここでは割愛します。
大陸烏龍茶と包種茶の最も大きな違いは発酵度です[3]。大陸烏龍茶の50〜60%程度6に対して、包種茶の発酵度の範囲としては、8〜50%程度です[3]。その中でも台湾で主流なのは、8〜30%のお茶[3]なので、大陸烏龍茶に比べて、発酵が軽いことがわかると思います。
下の図は、各茶の発酵度を示したものです[3]。上段は比較のために一般的なお茶類の発酵度を示しており、下段は台湾の代表的なお茶です。

この図から、台湾茶の多くが軽発酵のお茶であることが視覚的にも分かると思います。また、発酵度の視点からみると、台湾を代表するお茶の筆頭である高山茶および凍頂烏龍茶(発酵度15〜30%)は、烏龍茶よりも緑茶に近いと言えると思います。前々項の台湾烏龍茶の味の感想で、「緑茶寄り」の味がすると書きましたが、これがその理由と考えられます。
発酵度の話はこれくらいにして、今度は包種茶を少しだけ歴史的な観点から見てみましょう。
包種茶は以前は花茶(ジャスミン茶や桂花茶など)の一種だったそうで、茶葉に花の薫りをつけて出荷していました[3], [8]。しかし、現在では栽培方法や製造方法などを厳格に管理することで、花の薫りを人工的に付けなくても、花のような芳醇な香りのする包種茶を製造することに成功しています[3], [8]。このような努力もあり、台湾茶は世界的に評価されるお茶となっています。
さて、ここまで台湾茶全般の特徴を説明してきました。ここからは、それぞれのお茶の銘柄について見ていきましょう。ここでは私がいくつかピックアップしたものをご紹介します。
凍頂烏龍茶 台湾茶といえばこれ!

高山茶 世界で一番標高が高い茶畑!?

東方美人 世界でも稀少!?

金萱茶 台湾の新品種!

以上、各銘柄の説明でした。もし興味があるお茶があったらぜひ飲んでみてください。説明に難しいところはあったかもしれませんが、あまり難しいことは考えず、とりあえず試してみることをお勧めします。
なお、掲載した図の中に、ここでは説明されていないお茶が出てきていますが、それについてはまた他の記事で説明することにします。
- 台湾烏龍茶は烏龍茶の中でも軽い発酵で、緑茶に近い。
- 台湾烏龍茶は技術研究によって、茶葉から花のような香りのするお茶を作り出した。
- 台湾茶は、世界でも希少な栽培方法や品種改良でオリジナルの味を作り出している。
まとめ
今回の記事の内容をまとめてみました。
- 台湾茶の主役は烏龍茶。
- 台湾烏龍茶は、緑茶に近い味で飲みやすい。
- 台湾は高い技術力で、花のような芳醇な香りがする烏龍茶を作り出した。
- 台湾茶は種類も味も多様で、世界的にも独自性が高い。
いかがだったでしょうか。
皆さんのお口に合う台湾茶が見つかるといいですね!
参考文献
- 『はじめましての中国茶』池澤春菜 2017 本の雑誌社
- 『決定版 お茶大図鑑』主婦の友社 2005
- 『台湾茶の選び方・愉しみ方 極める台湾茶』池上麻由子著 2005
- 『台湾茶葉産業の現状と課題(pdfリンク)』小松出著 2015??
- 『中国茶の分類と製造方法』日本中国茶協会HP 2024.12.15アクセス
- 『本場に学ぶ中国茶』王広智監修 岩谷貴久子訳 2012 科学出版社東京
- 『茶の事典』大森正司ほか 2017 朝倉書店
- 『お茶の世界の散歩道』森竹敬浩著 2009 講談社出版サービスセンター
- 『はじめての中国茶とおやつ』甘露(中国茶カフェ)2023年 誠文堂新光社
コラム: ペットボトルの烏龍茶
昔、十六茶のCMを見ていたら、プーアール茶の名前が出てきていて、「プーアール茶ってなんのお茶?」と思っていました。答えはお茶のお茶です。私も最近まで「烏龍茶が何か?」もきちんと理解していませんでした。スマホがどういう仕組みで動いているかを普段考えないのと一緒で、生活に溶け込んでいるものってあまり深く考えて使っていないんですよね。烏龍茶もお茶のお茶。緑茶もお茶のお茶だし、紅茶もお茶のお茶です。そんな私は、かつて分類学の父リンネ*1が緑茶の木と紅茶の木を別の種だと考えていた*2というエピソードに猛烈に共感してしまいました。
日本の缶の烏龍茶は1981年に中国の武夷岩茶をベースにして、冷えても美味しい烏龍茶として、発売されたそうです*3(その後1996年に500mLペットボトルが随時発売*4)。台湾の烏龍茶も冷えてても美味しいので、なんだか不思議な感じはしますが、昔はお茶は温かいことが基本でした。時代が変わると考えも変わるものなのでしょう。冷たいお茶が美味しいかは置いておくとして、一般的なペットボトルの烏龍茶と台湾烏龍茶は別物です。最近では、台湾烏龍茶もペットボトルで売り出されているみたいなので、ややこしいですが。ペットボトルの台湾烏龍茶に興味がある方はファミリーマートで探してみると良いかもしれません。
*1 リンネ(Carl von Linné):学名を考案した人物。wikipediaによると、オスを♂と表記した人物としても有名。
*2『歴史の中の植物 花と樹木のヨーロッパ史』 遠山茂樹著 2019 八坂書房より
*3『はじめましての中国茶』池澤春菜 2017 本の雑誌社
*4『お茶百科』伊藤園HP(https://www.ocha.tv/history/japanese_tea_history/drink/)
脚注
- 茶の種類ごとの生産量について
残念ながら最近の資料を見つけられませんでした。一応、台湾行政院のHPも確認したのですが、茶の全体生産量は分かったのですが、各分類ごとの生産量はわからず。なので、日本語の資料で偶々見つけた資料を参照しています。『台湾茶葉産業の現状と課題(pdfリンク)』(小松出著 2015??)には、「1978年以降、茶葉栽培農家は国内市場需要の変化に応じて、次第に烏龍茶と包種茶製造へと転換していったが、86年段階では烏龍茶35%、包種茶34%、紅茶9%、緑茶13%となり、以後は烏龍茶が主となり、紅茶・緑茶はごく僅かとなった。」とあります。烏龍茶と包種茶を烏龍茶として扱い、35%+34%=69%で、台湾茶の生産の約7割が烏龍茶と書いています。もし、もっと詳しく知っている方がいらっしゃれば教えていただけると嬉しいです。 ↩︎ - 茶の分類について
日本茶の文献などでは、発酵度によってシンプルにお茶を分類するケースがよく見られます。それは、日本における茶の種類が主に緑茶、烏龍茶、紅茶、追加で黒茶と少ないため、それで十分に分類できてしまうからだと思われます。一方で中国茶では、製造方法で茶を分類しています。これは、製造方法が異なる結果、発酵度が異なっているのであって、発酵度のために製法を作ったわけではないからだと思われます。少なくとも、後発酵と弱後発酵と弱発酵の違いを製法なしで説明するのは難しそうです。 ↩︎ - 茶の発酵について
『お茶の科学 「色・香り・味」を生み出す茶葉のひみつ』(大森正司 2017 講談社ブルーバックス)によると、お茶の分野でいう発酵は、科学的な発酵とは異なります。発酵とは、微生物のはたらきで有機物が人間にとって有益なものとして利用できるものになることです。一方で、お茶の世界では伝統的にお茶が持つ酵素でお茶の持つ成分が酸化する化学反応を発酵と呼びます。綿あいはわかりやすくするため、酵素発酵と呼んで区別しています。この酵素発酵はお茶作りの肝となる部分で、「酵素発酵をどこで止めるか」がお茶の味を決める重要な要素になっています。酵素はタンパク質なので、熱を加えることで止まります。なので、お茶の製法を見比べるときには、いつ加熱しているかを見ることで、この酵素発酵の度合いを見ることができます。
ただし、この発酵について面倒なのが、お茶の世界では、微生物的な発酵も発酵と呼んでいることです。黒茶はカビや乳酸菌による発酵を利用したお茶です。ややこしい! ↩︎ - 烏龍茶の香りの種類の多さについて
烏龍茶の香りの種類が他のお茶より本当に多いかどうかはよくわかりません。ただし、①発酵が進むほどに香気成分は増える、つまり烏龍茶<紅茶(ネット情報)、②緑茶の香気成分は200種類以上、紅茶の香気成分は300種類以上(『お茶の科学 「色・香り・味」を生み出す茶葉のひみつ』 大森正司 2017)、③烏龍茶特有のテルペン香(花の香り)は、発酵による酸化で引き出されるが、無発酵の緑茶ではテルペン類が糖と結合しているためほとんどなく、紅茶ではテルペン類も分解されてしまうため少ない(サントリーHP)という3つの情報をまとめると、「少なくとも緑茶よりも香気成分はありそうだが、単体で紅茶と比較したら香気成分は少ないかもしれない。ただ、烏龍茶の発酵度は多様なので、烏龍茶全体では香気成分は紅茶全体より多いこともあり得る。」となるでしょうか。ちなみに、私は読むのが億劫だったのでさらっと眺めただけですが、英語の論文も見つけたのでよかったらご覧ください。 ↩︎ - 烏龍茶の分類について
『台湾茶の選び方・愉しみ方 極める台湾茶』(池上麻由子著 2005)によると、烏龍茶と包種茶は製茶方法が異なるので、学術的には2つに分けられるそうです。ですが、使用している茶樹の品種名が「青心烏龍」「軟枝烏龍」であるため、凍頂烏龍茶や高山烏龍茶は烏龍茶と一般的に呼ばれるようです。つまり、ここで言いたいことは、文山包種茶だけが包種茶であるわけではないということです。でも、包種茶も烏龍茶の一種です。ややこしいですね。 ↩︎ - 大陸烏龍茶の発酵度について
『台湾茶の選び方・愉しみ方 極める台湾茶』(池上麻由子著 2005)には、目安として、大陸烏龍茶の発酵度は50-60%と書いてありますが、必ずしも全ての大陸烏龍茶がこれに当てはまるわけではありません。 ↩︎ - 茶栽培の標高について
『お茶の科学 「色・香り・味」を生み出す茶葉のひみつ』(大森正司 2017 講談社ブルーバックス)によると、紅茶の産地であるダージリン(インド)で標高1000〜2500m、ヌワラエリア(スリランカ)で標高〜1800mなので、2000m級の茶畑がないわけではないですが、烏龍茶の中ではピカイチで高い標高なのは間違いないです。 ↩︎


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