北の北欧ふらっと旅④:ソダンキュラの木の教会と砂金の川、白夜の森でトナカイとの出会い

フラットなオウルをふらっと出たら山あり谷ありヘトヘト旅_4日目表紙 ノールカップ

 自転車でふらっと旅4日目です。

 フィンランド北部の町、オウルを出発して4日目。今回は、北極圏のソダンキュラ観光から始まります。北極圏の自然の中で、新たな出会いが待っていました。

 

4日目の行程

 4日目は、約132km進みました。Saariselkä手前まで進みます。自転車のメーターにリセット機能があるのを知らずに、リセットボタンを押してしまったので、正確な数字は分かりません。

 

ソダンキュラの歴史に触れる:木の温もりと石の静寂

 Sodankyläには、とても有名な建物があります。教会(Sodankylän kirkko, または vanha kirkko)です。キリスト教ルーテル派のソダンキュラ教区のHP(Cf. Sodankylän seurakunta)によると、この教会は1689年に建てられたもので、17世紀のフィンランドの教会の中では最も保存状態の良い木造教会とされています。14世紀にサーミ人が初めてキリスト教徒に改宗して、その後、入植(スウェーデン時代プファルツ朝)とともに教会が建てられたというラップランドの歴史を感じさせる建物です。ラマサルボス工法というフィンランドの伝統的な丸太組み工法で作られた2本の支柱(説法壇の横の柱とその向かいの柱)が特徴の建物です。こけら葺やうろこ葺に似た、鱗のような木の板を重ねて葺いた屋根は、ヨーロッパの童話に出てきそうな可愛らしい形をしています。

 木造板張りで、天井に曲線を描くこの技術が私はすごいなと思っています。造りはシンプルですが、細かく見ると、とても面白いです。

 イタリアやスペインの教会のような荘厳さはありませんが、森に囲まれ、人々と一緒に歩んできたような、柔らかい雰囲気があります。木造だからか、少し日本のお寺にも似た美しさと親しみやすさを感じます。

 夏の間だけ中に入れるので、機会があればぜひ入ってみてください。

教会内は120人座れる
Sodankylän uusi kirkko(新しい方の教会)1859年建築

 近くには1859年に建てられた新しい教会もあります。こちらは石積みの建物です。こちらも周りの風景ととても調和していて綺麗です。

 あと、個人的に好きなのが、フィンランドのお墓。カンテレのような楽器が彫刻されていますが、この楽器の彫刻には何か意味があるのでしょうか。私はフィンランドのあちこちのお墓をみましたが、こういう彫刻のあるお墓が時々見られます。

 この森の中にある雰囲気がたまりませんね。日本のお墓も高野山のように森に囲まれていたらいいのですが、森を切り開いたお墓の方が多くて、ピカピカの石だけ並んだ日本のお墓は怖い感じがします。

 また、フィンランドでは、クリスマスの頃にお墓参りをする習慣があります。これが土着の信仰なのか、キリスト教の信仰に根付いたものなのか、わからないので、気になっています。

(さらっと調べた限り、おそらく北欧の習慣です! 別記事を書く予定です)

 

カフェの誘惑:誘惑回避に役立つ方法

E75沿いの湖の畔にあるカフェ
とったどー
lakkaのモニュメント

 自転車旅を進む中で困ったのが、休みたい欲との格闘でした。特に4日目は1日中ほとんど曇り空で、風は強く、気温が低い日でした。常に足を動かしているので、寒さで困ることはありませんでしたが、風が強く気温が低いと、体力がゴリゴリ削られます。前の日にwifiが使えなかったこともあって、wifi環境が整っていて、屋根も壁もあって、風に煽られないカフェはきっと天国のような場所だろうなと考えていました。

(この日は寒さでiPhoneの電源がつかなかったので、どちらにしてもダメだったかも??)

 しかも夏のラップランド名物Lakka(クラウドベリー:cloudberry)が採れるらしい雰囲気(7月中旬〜8月上旬が収穫時期とされる)があり、誘惑しか感じません。

 しかし、ない袖は振れないですし、すっからかんの財布からは何も出てきません。かなり切実な意味で、残りのお金を大事に使わなくては、Ouluに戻ることができなくなってしまいます。

 悲しい哉。私には誘惑に負けるだけの残金余力が残されていないんです……( ˃ ⌑ ˂ഃ )よよよ

誘惑に負ける方法がなくて涙で滲んだ目で眺めた川(湖??)

 誘惑に負けられるのは、余裕のある証です。誘惑に負ける術もない私は、涙を流しながら、カフェの横を通り過ぎました。

 そんなわけで、誘惑につい負けてしまう方は、財布も口座も空っぽにして出かけるのがオススメです!

 

砂金LOVE:ムーミンからつながる砂金の話

 私は、小学生のときに、ムーミンの本を学校の図書室で借りて読んでいました。

 その中でよく覚えているのが、ムーミン(muumipeikko)が砂金を探しているシーンです。私は小学生の時から、金目のものが大好きだったので、砂金という存在を初めて知って、とても興奮しました。そして、鉱物図鑑を借りてきて、日本でも砂金が取れることを知って、さらに興奮したわけですが、それは今はどうでもいい話です。

 とにかく、私は小学生のときに「ムーミン」=「砂金」の図式を頭の中で描いていました。ムーミンがどこの国の話かは知りませんでしたが、ムーミンがいる世界では、砂金が取れることはそのときから知っていたわけです。そして、大学生になり、ムーミンがフィンランドで書かれた物語だと知り、私は興奮しました。つまり、「ムーミン」=「砂金」=「フィンランド」が成り立つわけです。

Vuotson kanava (Vuotso canal)

 そのおかげもあって、”Kulta”が「金(黄金)」と意味だと真っ先に覚えた私ですが、愛する人がフィンランドにいるわけでもなかったので*(フィンランドでは、大切な人のことをkulta「金」を使って表現することがある)、この単語はビール「Lapin Kulta(ラピン・クルタ)」くらいでしか使う機会がありませんでした。

*【ちょこっとフィンランド語講座】

フィンランド語意味
kulta金、ハニー、愛しいひと
kultaseni / kultani私の愛しい人
kultapieni(子供など)可愛い子
kultsipuppeli(口語的)超可愛い子
kullan murunenハニー、大切な人
(直訳:金のひとかけら)

 そのせいか、私はフィンランドで砂金が取れることなど、すっぽり忘れてしまっていました。

 しかし、Vuotso(ヴオッツォ)に着くと、「Kultaほにゃらら」という単語があちこちに見られました。「これはもしや!?」と思って道路沿いの案内板に書かれた英語の解説を読むと、やはりここVuotsoでは砂金が採れると書いてあるではありませんか!

 当時は、砂金を川の中からどのように見つけるかをよくわかっていなかったので、橋の上から金色に光るものはないかと目を皿のようにして探したのですが、案の定、全く見つかりません。

「私のkullan murunen(可愛い子)、どこにいるの??」

 先を急いでいたので、捜索は諦めて、将来、絶対砂金をとりにここに来ようと誓いました。

「kultapieni(可愛い子)ちゃん、今度は君を採りに来るからね!」

 え、気持ち悪い?(OдO`)

 

自転車旅だからこそ見える景色:白夜のフィンランド

  Vuotsoでは日本人らしきカップルが困った様子で、ヒッチハイクをしようとしているところに出くわしましたが、迷った挙句スルーしました。髪を染めていて、ちょっと近寄りがたく見えたのと、私には大してできることがなかったからです。なぜかこの出来事が頭に残って、話を聞いてあげた方が良かったか、寝る前までウンウン悩みましたが、悩んでも仕方がないことなので、諦めました。

スノーモービル用の道。私も何度か利用した

 E75(国道4号線)沿いには、車に乗っていると見落とすような風景がいっぱいあります。私の友人は、「車の旅は俺には速すぎるよ」とよく言っていましたが、自転車で旅すると、その意味がよくわかります。

 自転車で旅すると、目に風景を焼き付けながら、それでいて十分な速さで進むことができます。おかげで、フィンランドの平坦な森の風景を今でも昨日のことのように思い浮かべられます。

 E75沿いには、休憩できる場所も時々あります。ここには、椅子とテーブルが置いてあったので、私も使わせてもらいました。

 もちろん、トナカイも出現します。フィンランドでは、Reindeer herdingといって、トナカイを放し飼い(柵はなく、森に放つ)にしているので、道路を走っていると、そこら中で、うろつくトナカイを目にします。車で進む時には立ち止まって邪魔なので、よくブーブー言っているフィンランド人がいますが、自転車だとなぜかあちらから逃げていくことが多いです。

 この個体は夏毛に生え変わっているのか、毛がボワボワして汚い感じでした。

 時には、羊を見かけることもあります。この旅で見かけたのは、ここだけでした。

 道路はまっすぐでほとんど地形の起伏がないため道路脇の木が連なっているだけの風景が延々と続きます。正直、森が多すぎて飽きました。フィンランドは木が多すぎます。世界一空気が綺麗な国と言われるのも頷けます。

 この日はずっと曇っていたのに、夜(20時ごろ)になって、明るくなってくるのが白夜のすごいところです。夜にも太陽の光を浴びることができるなんて、日本ではあまり考えられません(日の入りは北海道の6月頃で19時半くらい)。下の写真は夜21時をすぎています。

 この時間まで自転車で走れちゃうので、走ってしまうところが白夜の悪いところでもあります。

 もう一つ、この日は自転車ならではの失敗をしました。立ち寄ったスーパーで0.89euroで1Lの牛乳を買って、自転車の荷台に結びつけておいたのですが、休憩して飲む直前になって、自転車が風に煽られて転倒。私の牛乳パックは地面に叩きつけられて、底に穴が空くという大惨事に。注ぎ口ではないところに、口が開いてしまって、牛乳がみるみる流出していきました。慌てて、反対側の正規の注ぎ口から牛乳を飲んだのですが、そのときには元々入っていた量の80%を喪ってしまっていました。日記によると、0.712euroの損失だということです。

「What the heck!?」

という悲惨な叫びが日記には綴られています。

 

夜の森の訪問者:トナカイの群れと鳥との不思議なひととき

 というわけで、本日の宿泊地を決めました。

 Saariselkäの手前あたりだと思うのですが、どこか覚えていません。近くを自転車で散歩していたら、砂漠のような場所を見つけました。日本でもフィンランドでも見たことのない光景です。突然現れた砂地が不気味だったので、森に避難しました。

 今日のキャンプ地は森の中です。日本のように笹藪はないので、地面は多少ボコボコしたり、傾斜がありますが、テントを立てるには困りません。私は釘は使わないので、地面の硬さも気にしません。

 まだ、寝るまでに時間があったので、自転車を置いて、周囲を散歩することにしました。少し降りると、立派な送電線が見えました。日本と形が違っていて、面白いです。そして、何やら遠くに動物の気配があります。

 トナカイです。首に赤い首輪が付いている個体と付いていない個体がいます。首輪をつけて、GPSで追っているのでしょうか。

 時刻は夜の22時半。まさかこんな遅くにトナカイの群れを追っかけることになるとは思ってもみませんでした。相変わらず不細工な顔をしています。日本のシカやエゾジカの方がよっぽど可愛いです(個人の意見です)。

 しばらく観察した後、テントに戻って、蚊取り線香をいて、蚊を退散しつつ、テントの中で蚊を片っ端から潰しました。テントの中でも、息は白く、気温はかなり低かったです。

「よし、日記を書いて寝よう」

と思ったまでは良かったのですが、この日はそれで終わりませんでした。日記を書いていると、外からけたたましい叫び声が聞こえたのです。

「な、なんだ!?」

 テントから慌てて顔を出すと、もう一度叫び声のような音が、頭上から聞こえました。見上げると、木の上に小鳥より一回り大きいくらいの鳥と目が合いました。

(こ、こんにちは)

 多分、お互いに目が合うと思っていなかったのでしょう。しばらく、見つめ合ったまま沈黙の時間を過ごしました。

(あ、写真撮りたいな)

と心の中で思ったのがいけなかったのでしょう。鳥は私の動く気配を察して飛び去ってしまいました。茶色とオレンジの間のような色だったと思います。図鑑を持ち歩いていなかったせいで何の鳥かわかりませんでした。

 ちょっと悲しい気持ちになりながら、そして、変わった夜の出会いに興奮を感じながら、この日も眠りに落ちました。

 

まとめ

自転車旅4日目、今日も様々な出来事がありました!

まとめ
  • ソダンキュラの旧教会: 17世紀の貴重な木造教会は一見の価値あり。
  • カフェの誘惑と格闘するも、すっからかんの財布が、私を誘惑から守ってくれました(涙)。
  • 「ムーミン=砂金=フィンランド」 砂金を探してkultaへの執念を見せるも、手ぶらで終わりました。
  • 自転車旅の醍醐味をご紹介。トナカイとの遭遇や、白夜の「ずるい」部分も体験。
  • 真夜中の不思議な出会い。トナカイの群れを追いかけ、謎の鳥と見つめ合うというシュールな夜を過ごしました。

 さて、5日目もこの調子でノーミス&ノーポンコツで行きます!!

 ここまでお読みいただき、ありがとうございます!「面白かった!」「いいと思う」「死ぬほど参考になった!」と思った方はぜひ、SNS等でシェアしていただけると嬉しいです。

 

コメント